【8月18日】取り立てて特徴のない18才フリーターと、彼の日記 「ミユさん③」

小麦屋のバイトにミユさんは来なかった。

最近 カフェは人手不足で、ただでさえ一人少ないシフトだったのだけど、ミユさんが休みとなりカフェは地獄の忙しさだった。
あまりに手が足りないのでランチの時間だけオレはキッチンをやることになった。オレ自身は2種類のランチを作るだけだったからそんなに大変ではなかったが、店長の姿は鬼気迫るものがあった。常にオーダーが入っていて、フライパンも4つくらい同時に操っていた(ように見えた)。
さらに隙を見て洗い物もやっていた。店長のメガネが料理の油で曇るので、食器と一緒に洗剤でメガネを洗っているのを見た時は「この人スゲェ」と思った。

パン場もかなり忙しい時はあるが、オーダーに追われることがない分マシだと思った。
バイト終わり、店長はみんなにジュースをおごってくれた。


夜、伝来のバイト中にミユさんから電話がきた。バイトが終わってからすぐに折り返した。
やはりというか、ミユさんは彼氏と別れたらしい。彼氏がほかに女をつくっていたそうだ。
オレはミユさんにどんな言葉をかけたらいいか わからなかった。安っぽいなぐさめはしたくなかった。いざとなるとオレって頼りない男だなと思った。


ミユさんは、このことはまだ小麦屋の誰も知らないので言わないで欲しいと言った。オレにだけ話してくれたのだ。
オレにはそれがすごく嬉しかった。すんごく。



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