マガジンのカバー画像

7
運営しているクリエイター

#詩

虫

スマートフォンの光めがけて
飛ぶ

夜の虫のよう
そこに集まる
ひとびと

しるひともしらぬひとも
みんなそこにいる

すっぱだかかもしれない
泣いているかもしれない
笑っていないかもしれない

みんなそれぞれの
眠れない理由をもちよって
その理由については語らずして

日中でもいいことを
夜のせいにして
つぶやく

耳を澄ませてみたい
沈黙の向こうに
あなたの鼓動に
わたしの心臓に

ほんとうは

もっとみる

夜の電車 ゆるりと横にゆれ

夜の海 大海原の小舟の話を読んでいたころ
なんとなしに昨日ぬったものとシンクロして
ゆらゆらして 小魚をみたきがした

少年マガジンをもった大鯨みたいなおじさんが
となりに座っていて 電車は青かった

とっても海だった

瞳のなかの一等星

瞳のなかの一等星

お刺身を手渡すときの 魚屋さん
お会計した本を渡すときの 古書店のお兄さん
茶葉のことを教えてくれた 中国茶屋のお姉さん
台湾のジューススタンドの おばあさん

物静かに働くみなさんの手がとまり
こちらをむき顔があがり
目があうとき

瞳が輝いてた 
キラキラだった

一等星くらい
一等星よりもあたたかく
彗星よりもゆるやかに

輝いていた

魚がすきなんだなぁ
本がすきなんなぁなぁ
お茶がすきな

もっとみる

ハリネズミ

初めて会った日からずっと
支えてくれていたことに
会議室で気づいた

エマージェンシーコールを
あなたに向けて
大人げなく
叫んだ

もう休みな
やっておくから
ほんと大変だったね

初日のトゲトゲしい態度は
不器用な優しさだったのだと
会議室で泣きながら気づいた

その時には休むことが決まってしまって
送別会まであなたに会うことはできなくて
伝えるべきことを伝え漏れたようなきがして
ずっと暮らし

もっとみる