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彼氏を構うより絵(漫画)が描きたすぎて実家に逃げた話

オリジナル記事掲載日:2021年1月2日

自分で言うのも何だけど、
我々カップルは
仲がいい方だと思う。

しかしわたしは逃げ出した。
絵(漫画)が描きたかったからだ。

* * *

昨年12月、
「収入が減ってもいいから、
自分が子供の頃からやりたかった
『漫画を描く』を思い切りやろう」

と思った。

(そもそも昨年は春くらいから
かなり沢山漫画を描くように
なっていたのだけど)

そうしたら思いのほか
年末に仕事が沢山入り、
(それは非常にありがたい
ことなのだけど)
描きたい漫画を描く時間が
なくなってしまった。

なので、仕事納めをした
翌日から2日間
(12月30日・31日)、
思いっきり漫画を描いた。

自分は楽しかったけど、
はっきり言って
同居している彼は
つまらなそうだった。

「ほったらかして悪かったな」
と思い、
元日(きのう)は彼を構おうと
「絵・漫画を描く」
を封印した。

めちゃくちゃイライラした。
もう、めちゃくちゃ、イライラした。


もうものすごく絵が描きたいし、
漫画のつづきが描きたい。
しかもそうやって時間空けても
彼は横で具合悪そうに
寝続けているだけだったので、

「え、この時間で絵を描けば
よかったんじゃない?」

と思った。

でも彼の具合が良くなるまで、
絵や漫画は描かずに
ひたすら待った。
彼が元気になった時、
わたしが絵や漫画に
夢中になっていたら、
きっとまた拗ねてしまうから。

夕方くらいから彼が元気になり、
二人で外出したけども、
正直ほとんど面白くなかった。
頭の中ではずっと
絵が描けなかった不満と
漫画のシナリオがぐるぐるしていた。

あまりにも
イライラが収まらないので、
家に帰ってから絵を描いた。

そうしたらまた彼が
一人でつまらなそうにしていた。
というか、拗ねた。
「なんなん」と思った。

何でお前はわたしが構わないと
楽しく生きられないのか。
自分一人でも楽しく生きてくれよ、
一人遊びを覚えてくれよ、
と思った。

そこまで考えて、
「これはやばい」と危機感を感じた。
このままでは彼を嫌いになってしまう。
なので、実家に逃げることにした。

実家の家族はドライなので、
わたしが一人で文章を書いていようが
絵や漫画を描いていようが
ぜんぜん気にしない。
こっちの様子を
チラッチラッ伺ったりしない。
話してほしそうに
遊んでほしそうにしたりしない。

いや、わたしは確かに、
わたしと話したそうな彼も
わたしと遊びたそうな彼も
すごく好きだ。

彼と二人で仲良く暮らしていければ
それだけでいいと思っていた。

だから「彼と幸せでいること」を
最優先に生活してきたのだ。
「彼を喜ばせるわたし」でいたいと
ずっと思ってきた。

なのに、
「創作をしたい」
と思ってしまった。

長い間、ずっとずっとずっと
抑えつけていたフタを開けてしまった。

ずっと
「彼と幸せに生活するのに必要な
お金を稼ぐための絵や漫画」
を描こうとしてきたのに、
ほぼ何の収入にもならない、
「自分のための絵や漫画」が
描きたいと思ってしまった。

わたしはバカじゃないのか、と
心の中で叫ぶ声がする。
お前は自分を愛してくれる人を
ずっと探していたんだろうと。
絵の才能も漫画の才能もないから
せめて誰かに愛されたいと思って
ずっとやってきたんだろう。

誰にも愛してもらえなくて
ずっと部屋で泣いてたじゃないか。

恋愛がうまくいかなくて
いかなくていかなくて
その末にやっと手に入れた
「愛情」や「安心」なのに、
それをくれた彼を大事にするより
漫画や絵が描きたいだと?

わたしは阿呆だ。
このままでは彼と一緒に
自分も嫌いになってしまう。

だから実家に逃げることにした。

「今夜は実家で文章や絵が
思いっきり書(描)ける!!」
と思ったら、
日中の彼との時間が
急に楽しくなった。

彼も彼で、昨日までは
ただ拗ねたり具合悪そうに
しているだけの存在だったが、
謎に愛情表現をするようになった。

わたしたちはとても仲が良く
相性のいいカップルだと思うが、
一緒にいすぎるとどうも
ダメになるようだ。

しかしそれはそれで、いいのだと思う。
「そういうふたり」だと受け入れて、
これからも仲良くやっていく術を
見つけていくしかない。

* * *

ずっと一緒に二人で仲良くいつづける
カップルや夫婦を夢想する人は多い。
それを夢想するあまりに
壊れていくふたりもよく見る。

「我々はそれができない
ふたりなのだ」
と受け入れるのも大事な気がする。

「正しいカップル」など存在しない。

「わたしたち」に合う愛し方、
過ごし方、生き方を見つけるんだ。
「みんなと同じ」じゃなくても、
全然いいんだよ。

わたしは絵や漫画を充分に描けないと
彼を大事にできない人間だ。
そういうわたしでも、
彼を愛せる方法を探す。

ごきげんよう、さようなら。

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