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ヘブロンガラス

こんにちは、駐日パレスチナ総代表部です。

今回は、パレスチナのガラス工芸品についてご紹介します。

ヨルダン川西岸地方の南部に位置するヘブロンという都市をご存じでしょうか?ヘブロンは、世界史上最も古くから人々が継続的に住み続けた記録を誇る都市として有名であり、文化的な遺産が多く残されています。

世界工芸協議会(World Crafts Council)により、工芸都市(Craft Cities)として認定されており、陶器やガラス製品、刺繍、革製品などの工芸品でも有名です。今回は、その中でもガラス工芸についてフォーカスしてお伝えしたいと思います。

ヘブロンで作られるガラス製品はへブロンガラスと呼ばれています。ヘブロンガラスは、紀元前にパレスチナの北方のレバノン周辺に住んでいたフェニキア人が型を用いない吹きガラスの技術を発明したことで作られるようになった、その地域では最も古い工芸品です。吹きガラスの技術は、ローマ人によってヘブロンにもたらされました。現在のヘブロンガラスには、リサイクルガラスを使用されていますが、その当時は、近隣の村から集めた砂や、死海から取れる炭酸ナトリウムが使用されていました。
 
中世になると、世界遺産アブラハムモスクや、エルサレムの岩のドームのステンドグラスにおいて、ヘブロンガラスの匠な技術が見られます。また、キリスト教の修道士や巡礼者は、ヘブロンガラスの存在を各地に広め、シリアやヨルダン、エジプト、トルコへの輸出を進めました。

世界遺産アブラハムモスク




18~19世紀には、ヘブロンでのガラス生産は最盛期を迎えました。ガラス工房の数は60にも達し、旧市街には、ガラス吹き工を意味するGlass–blowerという名の地区があるほどでした。輸出産品としての生産も盛んで、水差し、皿などの食器類、オイルランプ、色とりどりのリングやブレスレットはラクダのキャラバンでエジプト、シリア、ヨルダンなどに運ばれて行き、アラブ世界全体に広がりました。1873年のウィーン世界博覧会に出展した際は表彰を受けています。

このように、今まで見てきた通り、ヘブロンガラスは、その起源をローマ時代にさかのぼれるほど古くから存在しており、文化的遺産に富んだヘブロンという都市で作られるからこそ、生み出される造詣豊で素晴らしい伝統工芸となっています。

今日では、ヘブロン市内の家族経営のガラス工場において、吹きガラスという伝統的な手法での生産が行われています。

パレスチナに行く機会がありましたら、ヘブロンガラスのガラス工場に足を運んでみるのはいかがでしょうか?また、ヘブロンガラスの工芸品は、パレスチナ土産にもうってつけです。この記事で、ヘブロンガラスの魅力が伝わっていれば幸いです。

ご拝読ありがとうございました。

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