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譚月遊生季
2020年9月28日 22:35
私は墓守の家に生まれ、死んだ。そして、若いうちに死んだ私には子がいなかった。 墓守の役目は皆が嫌がる。だから、私は死んだ後も墓守を続けることにした。「こら、墓場で遊ぶのはやめなさい」 今日も遊び回る子供を諭しに行く。 子供は好奇心旺盛で、すぐに墓場で追いかけっこだのかくれんぼだのを始める。怖くはないのだろうか……と思ったが、怖いからこそ面白いのかもしれない。「あっ、ちょっ、頭はや
2021年4月6日 18:32
僕は、愚かな男だった。そして最低の夫であり、最悪の父だ。 一時の色香に惑わされ、僕は家庭を捨てた。愛人宅を帰る家とし、何年もの間、本来の家庭から目を背け続けた。 ……金の切れ目が縁の切れ目。いつまでも続くかのように思われた景気は泡のように弾け、僕が業績不振に陥るや否や、愛人は姿を消した。 今更悔いたってどうしようもないし、過去は取り戻せない。謝ったって許されるようなことではないと理解して