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現場監督がこっそり教える、お家を綺麗に保つコツ

工事のお仕事をしていると、私たち施工者が手間暇かけて劇的ビフォーアフターをしても
住まい方次第では数年後訪問すると汚い家に元どおりになっていて、悲しい気持ちになってしまうことがあります。

そのため、設計側はどうすればなるべく綺麗に保って貰えるか、上手く空間や収納を使ってもらえるかを考えてプランニングしています。

また、工事後の竣工美装というものがあります。
工事で出た埃やクロスの糊などを綺麗に掃除し、
アフターの美しさを完璧なものにするハウスクリーニングです。

これらの設計側のコツと、竣工美装時の掃除のコツを合わせると、
一般家庭で綺麗な暮らしを保つことに応用できるのでご紹介します。


プランニング上のコツ3選

①収納容量の8割のものしか持たないようにする

生活感の出るゴチャゴチャした日用品類は徹底的に隠す収納がスッキリ見せる基本。

また、収納することでモノが埃をかぶることが防げ、
掃除の手間が減ります。

我々は普段、本当に必要な物量をお客様に吟味してもらいながら、それに見合ったクローゼットや壁面収納を作ったり、キッチンやカップボードの選定をします。

そこで、そもそもの話、自宅の収納容量以上の物があったら入りません。なんとか入ってもぎゅうぎゅう詰めならどこにあるのか分からなってしまいます。

断捨離は日常的に行い、自宅に確保できる隠す収納の容量に対し8割程度の物量をキープすることを徹底しましょう。

新しいものを1個買ったら1個捨てる等のルールを設けると良いと思います。


②部屋ごとに主役となる顔を作る。

十分な広さがある家では部屋の四方どこを見ても装飾がされているようにしても、それらが引き立つ余白できるが、狭小住宅が基本の日本ではそうはいきません。

主役となるする箇所は部屋につき1箇所(1面)に絞りましょう。

その他はなるべく置くものを減らし、「余白」を意識してみてください。

例えば、リビングならテレビを置く面が部屋の顔。玄関ならドアを開けた正面。(間取り的に側面になる家もあるが)寝室はベッドヘッド面。書斎は椅子が向く方向。そこには意匠性のある壁材を使ったり、他のものより少し良い家具、お気に入りの小物を置く、照明に変化をつけるなどしてみましょう。

よく、どこもかしこも飾り立てる方がいますが、それではそれぞれが喧嘩してしまい、装飾が引き立たないのです。


③模様替えは家具の移動ではない。

日本人は模様替えというと、家具の配置をガラっと変えるという印象を持ちがちだが、本来はそんな大層なことではありません

クッションカバー、ラグ、寝具などのリネン類を変えることで季節感や気分を変えることができます。それに季節の花や風物があれば、いつもの同じ空間が新鮮で心地の良いものになる。絵やオブジェを飾っている方ならそれもたまには掛け替えましょう。

要は、衣替え。

色合いは同系色でまとめ、1色だけ差し色を入れるのが、簡単でオシャレっぽく見えるコツです。


掃除のコツ5選

①素材の持つ本来の質感を保つ

ちょっと意味が伝わらないと思うので解説。

例えば、クロムメッキの水栓金具や、ガラスの照明シェード、鏡、陶器の洗面ボウルはピカピカ光っているから美しい。あなたのお家のこれらは、くすんではいませんか?

天然木オイル仕上げの家具や、マットな人造大理石はしっとりとした質感だから美しいのです。あなたのお家のこれらは乾燥したり埃でザラザラしていないでしょうか。

ベットリネンは清潔感が感じられるか。ヨレヨレ、ジットリしていないか。

このように、特徴のある質感のアイテムや、空間を象徴するアイテムはそのものがあるべき姿を保つと、ぐっと空間が引き締まって見えます。


②端部や細部ほど埃に気をつけよう

人が手先の所作や爪先のお手入れ、髪先の美しさ、靴などの端部の手入れに気を使うと、全体的な美人感が上がるように、

家も壁と床の取り合い、家具と接地面の取り合い、微妙な隙間や、巾木の上など、

細かいところに埃が溜まっていない、清潔な状態であることが、全体の美しさを底上げします。

私も、平日はざっと掃除機かけたり机の上を拭くなど平面を綺麗にする掃除をし、週末はこういった細かなところを掃除します。

決して毎日する必要は全くないが、1年に1回の大掃除でしかしないのか、1、2週間に一回するのかが大きな違いとなります。

また、総じてこういった汚れは溜まると固着して落ちにくいので、
実は普段からやる方がかえって楽なのです。


③掃除の基本は拭き掃除

現代では、掃除の基本は掃除機が主流だと思います。

もちろん、目に見える大きなゴミや埃、まだ床についたばかりのゴミは掃除機でさっさと取るのが効率的。広い家ならロボット掃除機、そこまででもなければ気がついたときにさっと掃除できるコードレスが良いでしょう。

しかし、どれだけ時代が進んでもあくまで掃除の基本は拭き掃除なのだ。

なぜなら、汚れや埃はこの多湿な日本では湿気を吸ってあらゆる面にへばりつくから。

そして、拭き掃除をするときと立って掃除機をかける時では掃除面との距離も2.5倍ほど異なります。当然、拭き掃除をすれば今まで見えていなかった汚れがよく見え、綺麗好きならぞっとすることでしょう。

面倒な拭き掃除ですが、汚れが取れる快感と、無心で磨けばマインドフルネス状態になり気持ちがスッキリするという点でも休日の過ごし方としておすすめです。


④ワックスは3年を目処に剥離する

年末の大掃除で床にワックスをかける家も多いと思います。
そのワックス、何年も塗り重ねていませんか?
そして、床が黒ずんでいたりしないでしょうか。

残念ながら、汚れとワックスが一体化した床には上から何を塗ってもダメなのです。 

そんな時は一度剥離剤で剥離してみてください。
ホームセンターやAmazonで液体の剥離材が売っています。
ワックスを剥離すると嘘みたいに綺麗な床が出てくることが多いです。

但し、雨が吹き込んだり、紫外線に当たってフローリング自体が劣化していたらワックスの問題ではないので注意。

因みに、フローリングは面積があり、高価な商品を選ぶと結構な額になるのでリフォームや新築時に安易に安いものを選びがちですが、面積が広い分大きく見栄えとその後のメンテナンスに差が出るアイテム。
今は耐候性があるものや傷に強いもの、ペットが滑りにくい塗装のもの、逆に天然木の挽き板を使用するなど、経年と共に傷や色の変化含めて味わいが出るものがあるので、よく吟味して選ぶことをお勧めします。

後々部分張り替えをできないこともないが、部分的に張り替えるとそこだけ新しくなって気持ち悪いのでお勧めしません。しかも同じ商品が手に入る可能性は限りなく低いです。同じ柄でも生産ロットの違いで微妙に色合いが異なるし、数年もすればトレンドが変わり廃盤になってしまいます。
全体を張り替えると家具移動含め結構な手間と人件費がかかるので、より長く美しく使える商材選定と、普段のお手入れが必要なのです。ちなみにスリッパは裏が柔らかいものを使い、家具の足にクッション材を貼るのは基本。

数年住んで傷が気になったら、リペア屋さんという業種があり、修復も可能なのでリペアの活用もお勧め。結構人によって技術に差があるのと、直しやすい傷と直しにくい傷があるのでそこは注意が必要です。


⑤持っていると役に立つ掃除アイテム

掃除におすすめのアイテムを紹介します。

マイクロファイバーの雑巾とメラミンスポンジあたりは定番なので今更紹介は必要ないかと思います。

他におすすめな物だと

キッチン周りにはとにかくジフ。ガラストップのコンロ、ホーローのレンジフード、ステンレスや人工大理石の天板、シンク、タイルの掃除。簡単にピカピカになる。ただし、扉面材は研磨剤使わない方がいいものが多いので控えてください。

お風呂のパッキンのカビには泡のハイターではなく、ジェル状のハイターがアツい。しっかり密着してびっくりするくらいカビが取れます。

そしてクロスの補修に、一家に一本ボンドコークと、補修用のおしろいのような粉と、クロスを抑える為のローラー。小さな傷や、めくれ、クロスのジョイントが開いてきたくらいで業者を呼んでいたら、材料は安いのに人件費と、糊をひく機械の組み立て手間で何万円もかかってしまいますが、実際はこれらのせいぜい2000円ー3000円の常備アイテムでなんとかなることが多いのです。

ただし、大体が白やアイボリーのクロスに対応した色バリエーションなので、カラークロスの補修ならボンドコークでくっつけたあと、アクリル絵の具なんかで色を作ってチョンチョンとしたほうがいいと思います。

これを見て、賃貸でも持ち家でも関係なく、住まいを大事にして気持ちよく過ごそうと思ってくれる方が増えれば嬉しいです。

#掃除  #収納 #インテリア #ライフハック #私の仕事

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