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〜邪気・『内因(ないいん)』〜

蒸し暑い日々が続いていますがお元気ですか?

病気になる原因をお伝えしていますが、
今回は『内因(ないいん)』です。
昔から『病は気から』という言葉がありますが、気持ちの持ち方と理解されている方も多いのではないでしょうか。

実はこの言葉の語源は、中国最古の医学書『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』にある「百病は気に生ず」と言われ、
ここで表す「気」とは、気血水の気です。
「気」とは目に見えないものですが、全身を巡っているもので、生命を維持するための重要なエネルギーです。
この「気」の巡りが悪くなることが病気の引き金であるというのが本来の意味です。
そして思考や感情も目に見えないものですが、
内因には精神的なストレスと、先天的な体質素因(生まれつき持っている体質傾向)によって生じる、心身の不調があります。
精神的ストレスには怒り、過度な喜び、思い悩み、悲しみ、恐怖などが含まれ、厳密には怒・喜・思・悲・憂・恐・驚に分けられます。
これらは内傷七情(ないしょうしちじょう)と呼ばれ、このような感情が強すぎたり、長く続くと「五臓」(肝、心、脾、肺、腎)の気の流れに異常をきたすと考えます。

(1)怒:「肝(かん)」
怒りすぎると、肝の気が上昇し、血を伴って頭部に上ります。
(2)喜:「心(しん)」
喜びすぎると、心の気が緩み、精神を安定させる作用を失ってしまいます。
(3)思:「脾(ひ)」
思い込みや悩みすぎで精神疲労が続くと、気が鬱結(うっけつ)し、脾の働きを悪くしてしまいます。
(4)悲・憂:「肺(はい)」
悲しみや憂いすぎると、肺の気を消耗し、肺を傷つけてしまいます。
(5)恐・驚:「腎(じん)」
恐れすぎると、気が下がり、腎の気が持つ固摂作用(液体が漏れ出ないようにする働き)が悪くなります。
また、急な驚きは気を乱し、心・腎の働きも乱れてしまいます。

嫌なことがあってイライラ怒っていたら頭痛がしてきた。
深く思い悩んでいるときはあまり食が進まない。
泣きすぎて呼吸が苦しくなった。
などの経験はありませんか?

漢方では感情と病気は切り離せないものと考えられています。

日々、忙しく過ごしていると自分の体調や環境の変化に鈍くなりがちですが、
当たり前の日常生活が、いかに健康と不調に関係しているかを意識していただきたいです。
内因とは、私たちの身体の中にあって病気の原因となるものです。体調を崩さないためにも感情に揺さぶられすぎない精神修行が大切です。
修行というと大それたものと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
『内観』『静観』する癖をつけましょう。
ご自身の思考や感情を『心の目で静かに見守る』ことは大切な養生です。


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