見出し画像

映画「海街diary」の桜に思う

作品にはほとんど触れてません

桜の季節は、いつも気付かないうちに終わっている
桜の散る間際の花びらと散ったあとに残る葉の色とのコントラストが好きだ

桜を効果的に見せる作品で思い浮かべたのが「海街diary」
すずと風太の自転車の2人乗りのシーン (自転車の2人乗りのシーンも鉄板演出ではあるが)

この作品、映画化されると聞いて原作の読むべく、いい齢をしたおっさんがブックオフの少女マンガコーナーまで探しにいった

吉田秋生、この作家の世界・人物の作り方は他を抜きん出ていると思う

わたしが若いころ、同氏の「櫻の園」が中原俊監督で映画化された
まだ役者と言えない若い女の子が演技をしている (もっとも演劇部の話ではあったが)
そのたどたどしい演技をカメラが正面から抜いていく
光の奥行きが役者をみごとに際立てている、映画でしか感じられない間ではないかと思う

同じ時代に、亡くなったが市川準監督の「BU・SU」「つぐみ」も同様に思春期の心象を映像として正面からスクリーンに表現した正統派の映画だった

さて、海街diary、原作の世界観を忠実に再現している
配役が見事である、よくこれだけ揃えたかと思えるほどの役者たちが脇のかためている、個人的には風吹ジュンと加瀬亮のふわっとした存在感が好きだ
ほんの少しの登場でも、ストーリーに大きな影響を与えたり、方向を示唆していく、そんな人物を作り出す作家は凄く、またそれを理解して演じる役者も凄い

この作品は、
気をてらったり、変にこだわった演出などしなくても (構図には相当こだわっていると思うが)、光の眩しさや風や匂い、そして役者の息遣いを感じさせる佳作ではある、と思う


地方在住者からすると、「鎌倉」自体が映画のセットのように思えるのかもしれない (もしくは西岸良平の作り上げた世界)

自転車で二人が駆け抜けて行くサクラのトンネルも、現存する場所でありながら、この作品、この二人のためだけに用意されたもののように感じる


もう、賑やかな花見客はいなくなったが、花びらのを少し残しながら青葉を揺らす桜がある公園に、週末ひとり赴きしばし感傷に浸るとする

年齢は喰いたくねえ、と

家帰ってNetflixで見直そう



この記事が参加している募集

#映画感想文

66,330件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?