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#コルク

「怒り」は、自分の甘えに気づくチャンス

「怒り」は、自分の甘えに気づくチャンス

「怒り」とはなんなのか?

辞書には、「腹立ち、憤り」と書いてあるだけで全く思考が進まない。wikipediaの方がずっと役に立つ。「怒りは、原初的な反応で危険にさらされたという意識、認識に起因している」とのこと。

出版社で働いて、3、4年目、新入社員の「指導社員」になった。僕は、彼の仕事への態度が本気ではないと怒り、彼を一人前にするために叱っていた。悪いのは、本気でない彼であり、わざわざ叱るの

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水をすくうのではなく、水を交換する

水をすくうのではなく、水を交換する

新しいコミュニティに参加した時に、あるアドバイスをされた。

「水をすくうのではなく、水を交換する」のだ、と。

シンプルな言葉だけど、この言葉は僕の胸に刺さった。この前開催したコルクラボのマンガ専科でも、この考え方で参加してほしいとお願いをした。

コミュニティにこれまで蓄積された知識や智恵が、大きな樽に水となって溜まっていたとする。

参加費を払ったからと言って、空のコップを持ち込み、樽から水

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みんなが僕に「ケアが足りない」と言う意味が、ようやくわかった。

みんなが僕に「ケアが足りない」と言う意味が、ようやくわかった。

昔から僕は、「人に対してケアが足りない。佐渡島は人に厳しい」とよく言われる。

でも、僕は僕なりに相手のことを誠実に思い、一生懸命ケアしているつもりだった。

このギャップは、一体どうして生まれるのか?

その長年の謎が、臨床心理学者の東畑さんの新刊『居るのはつらいよ』を読むことで、ようやく理解することができた。

この本は、「ケアとセラピーについての覚書」という副題がついているが、僕が他人に対し

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企画力よりも大事な「継続力」

企画力よりも大事な「継続力」

編集者という職業にとって、「企画」ほど大事なものはない。

就職してからずっと、企画力をどうやって磨けばいいのかということを考えてきた。もちろん、今もずっと考えている。

書店へ行くと、企画関係のビジネス本が大量にある。誰もが企画力を鍛えようと躍起になっている。ネット上でバズれば、インフルエンサーへの道が拓けると夢をみている。

『モーニング』の編集者だった時、新人漫画家が雑誌の誌面を勝ち取るため

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「心に寄り添う」とは何か? 病気は暴力的に分人を減らす

「心に寄り添う」とは何か? 病気は暴力的に分人を減らす

先日、友人の鈴木美穂さんに誘われて、「CancerX Summit 2019」というシンポジウムに参加した。

鈴木さんは、ガンのサバイバーだ。

僕の祖父も30代でガンになり、数十年闘病しながら生活をしていた。高校時代の友人もガンで早逝し、そのことがきっかけとなり、僕は人生について考え直し、起業した。でも、その程度の縁しかガンにはない。医療マンガの担当編集だったこともない。

なぜ、僕が誘われた

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新しい感情と孤独の関係について、または大人は本当に鈍感なのかについての考察

新しい感情と孤独の関係について、または大人は本当に鈍感なのかについての考察

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE』という本を出してから、孤独というものについてより深く考えるようになった。

孤独とは、どういう感情で、どういう時に生まれるんだろうかと。

高校・大学の頃の僕は、自分がすごく孤独だと感じることが多かった。でも今は、一人でいても孤独だという気持ちになることはない。

子供であることと、大人であることに、孤独は関係しているのだろうか。

子供

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僕は心の叫びを聞きたい

僕は心の叫びを聞きたい

 僕は、作家の心の叫びを聞きたくて、編集者になった。心の叫びを、そばで、一番初めに聞きたい。

 ヒットさせるのは、二番目の欲望だ。編集者として価値を発揮したいから、ヒットできるように努力する。でも、僕の一番目の欲望は、心の叫びを聞く、だ。

 先週のブログも安野モヨコについて書いたが、今週もだ。

 4月8日発売のフィールヤングに掲載する『鼻下長紳士回顧録』の原稿を受け取り、僕は興奮している。2

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