しろいろの街から未だ抜け出せない

こんにちは。


今日は最近読んだ本について書こうと思います。



「しろいろの街のその骨の体温の」(村田沙耶香)


この話は開発途中のニュータウンに住む主人公結佳が街と共に成長していくような物語です。


女子特有の可愛い子が徐々に上の立場になっていくような感覚、女性なら感じたことがあるのではないでしょうか。

この小説ではその過程が生々しく描かれています。

主人公結佳には仲のいい女の子が二人、お人形さんみたいに可愛い若葉ちゃんとちょっとぽっちゃりで自分の見た目に無頓着な信子ちゃんがいます。

小学校低学年ぐらいまでは三人は仲の良いままなのですが学年が上がるにつれてこの三人の関係は徐々に崩れていき、中学校に入った時点で完全に崩れます。


中学生などの学校という場に縛られた状態だと学校の中での自分の立場を気にしすぎてしまって、学校の中でここの立場まで自分が落ちてしまったらこの世のお終い、そんな状況が鮮明に描かれています。



この小説では、ニュータウンという結佳が住んでいる街は、そのような学校という小さなコミュニティのことを表しているのではないかと思います。


このような小さなコミュニティのことなど気にすることなく、もっと広い世界で生きることができている唯一の存在、それが伊吹という少年です。


伊吹はこの小説内で幸せさんと主人公から影で呼ばれています。幸せさんとは、学校内での周りからの目とか、スクールカーストのような立場の差を感じずに過ごせている存在のことです。だからこそ伊吹は小説内でスクールカーストが下となっている女の子にも普通に接するし、上の人とも普通に接します。


こう言った存在になれたら、、と何度も思いました。



私自身今回読んだのは二回目で初めてこの小説を読んだ時は高校生でしたが、伊吹のような存在になりたいと何度も思いました。


では自分の今の生活を考えてみるとどうでしょう。私はいまだにしろいろの街から抜け出すことができていないのだということを痛感します。


自分の入っているサークル内での立場を気にして、自分の周りの人間からどうみられているのかということばかりを気にしてそのことばかりに悩んでいる。

ああ、まだ自分は抜け出せていないのか、と思います。

作中主人公は、最後かなり勇気のいるような行動をしてしろいろの街から抜け出します。あの主人公の行動を見て、本当に強いなと感じます。私もあんな風に自分に正直に行動できたら、、と思いました。


一回読んだ時のそう思ったはずなのに二回目でもそう思ってしまったあたり、自分の成長できていないことを実感しますね。


ポジティブに考えれば私はまだ成長の余地があるのだということ。主人公のように強くなれたらと思うばかりです。



ここまでつづってきたように明らかにこの小説は私に大きな影響を与えた、私の大好きな作品です。



ここまで読んでくださった方々にも自分の心に残る小説があるのかななんて思います。これから見つける人もいるのかなと思います。

私ももっとたくさん本を読んで成長していきたいですね。

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