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音楽の粘りと重み:プログレの新たな地平を開いた『Back in The World of Adventures』の探求

■The Flower Kings / Back in The World of Adventures
■収録曲:1.World of Adventures(13:39) 2.Atomic Prince/Kaleidoscope(7:51) 3.Go West Judas(7:49) 4.Train to Nowhere(3:51) 5.Oblivion Road(3:49) 6.Theme for a Hero(8:34) 7.Temple of the Snakes(1:25) 8.My Cosmic Lover(6:48) 9.The Wonder Wheel(4:19) 10.Big Puzzle(13:34)
■パーソネル:Michael Stolt(b) Roine Stolt(g,vo,key) Tomas Bodin(key) Hasse Fröberg(vo) Jaime Salazar(dr)
■カバー・アート:Roine Stolt
■リリース:1995年

フラワーキングスは多作なので全部聴いてるわけではありませんが、つまみ食いした中では、やはりこれしかないってアルバムです!

ちょうど、このアルバムが出た1995年はウインドウズの登場によりパソ通が死に体と化し、それなりにヤクザな音楽聴きの間で栄えていたniftyserceのぷろぐれ隔離室的な場所も消え、雑誌で言うとプログレ専門誌だと思っていたマーキーが突然変てこな方向に逝ってしまい、プログレファンとしては大変高価なユーロロックプレスが唯一の手がかりとなってしまっていた・・・という時期でした(記憶が若干交錯してる可能性あり)。

そうした時期に登場したフラワー・キングスは、イルヴェイターやらコラージュやらといった十派一絡げの新興プログレのひとつという印象でした。思うのですが、このジャケットの絵のデッサンの緩さも、そう思わせたポイントの一つだったのだと思います。

東洋の仏像のようなモチーフ。ぱっと見、手榴弾かと思ってしまう地球儀。ロイネ・ストルト自身の絵だったんですね。きっと、カイパの時代からのコアなファンの人にとっては、絵まで描いてなんて豪華なって感じだったのではないかと思います。・・・でもね、頑張って描いてるのは分かりますが、上手とはね・・・。っていう理由で、これは、リアルタイムでは手に取らなかったのでした。

しかしながら、後追いで聴くと、音はそうした魑魅魍魎とは一線を画したものでして、メッチャクチャ吃驚してしまいました。私が、このアルバムをようやく買った時期、ロイネ・ストルト氏はスポックス・ビアードのニール・モーズとトランス・アトランティックを演ったりしていましたよね。音の出方というか、一音一音の力強さは国を異にしますが、スポックス・ビアードに近いものがありました。

フラワー・キングスの音の特徴は、ためのしつこさ、粘りっこさというかネチッコさからくる重みです。アルバムが約72分あるので、この重圧を通しで聞くとどっと疲れます。LP世代なので、もともと集中可能時間は45分程度なのです。そこで、最近では、1曲目だけ回したりなどしております。軟弱!

それにひきかえ1956年生まれのロイネ・ストルトさんは、なんて元気なんでしょうね。70分台のアルバム制作をその後もBanks of EdenやDesolation Rose、しかもその後も比較的コンスタントにかれこれ30余年間にわたって継承されているのには頭が下がります。

このアルバムは、トータルで素晴らしいのですが、その中でも、突出(これも尋常じゃなくって、後の曲が霞んでしまうくらい、また、同世代の他のプログレがきけなくなってしまうくらい)しているのが1曲目のWorld of Adventuresです。重厚荘厳なイントロから冒頭のボーカルパートを経てインストルメンタルに移り変わる瞬間までの高揚感、そしてインストルメンタル・パートの展開の緻密さ!世代を超えたプログレッシヴ・ロックを象徴する1曲だと思います。

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