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Egg

■Egg
■収録曲:Side 1 - 1.Bulb(0:09) 2.While Growing My Hair(3:53) 3.I Will Be Absorbed(5:10) 4.Fugue in D Minor(2:46) 5.They Laughed When I Sat Down at the Piano…(1:17) 6.The Song Of McGillicudie The Pusillanimous (Or Don't Worry James, Your Socks Are Hanging In The Coal Cellar With Thomas)(5:07) 7.Boilk(1:00) // Side 2 - 1.Symphony No. 2(Movement 1,Movement 2,Blane,Movement 4)(22:26)
■パーソネル:Dave Stewart(key) Mont Campbell(b,vo) Clive Brooks(dr)
■カバー・アート:David Wedgbury
■リリース:1970年3月

 Eggは、プログレにハマるきっかけとなったグループです。それまで、プログレというと、イエス、クリムゾン、フロイド、ジェネシス、カンサスくらいしか頭の中にはなく、裾野がどのように広がっているのかとか、英米以外にそうしたシーンがあるのかといったことすら皆目見当がつかない有様でした。かろうじて、セバスチャン・ハーディの名前を聞いたことがあったくらい。

 そんな中、当時、関東界隈で隆盛を極めていた普通の家電店ラオックスの近所の支店のCDコーナーが信じ難く充実していまして、ふと手に取ったこのジャケットが「聴け、聴け」とかなり訴えかけていたんですよ。そんなわけでお持ち帰り。怪しげな音の世界に触れてしまったというわけです。写真は、その後に買った1976年リリースのLP、ブリティッシュロック秘蔵盤シリーズです。キング・レコードの帯付き国内盤。

 Eggのこのファーストが発売された1970年の前年は、ビートルズのアビーロードをキングクリムゾンの宮殿が抜き去ったと言われているプログレ界の記念すべき年でした。この時期、勢いのあるプログレ作品が沢山登場していますよね。本作をそのひとつに数えてもいいのやら定かではありませんが・・・。

 Eggはキーボード・トリオです。構成がまるでELPなので、そちら系がいつごろだったかを調べてみたところ、ナイスの思想でナイスがデビューしたのが1967年、ナイスがトリオになって少年易老学難成を発表したのが1968年ということで、さすがにEggよりちょっと先でした。そうしてみると、Eggのこのアルバムの登場は、歴史の流れの中では必然なのかもですね。
 Eggは、デイヴ・ステュワート(キーボード)、モント・キャンベル(ベース、ボーカル)、クライヴ・ブルックス(ドラム)によって結成された英国のプログレッシブ・ロックバンドです。このトリオは、元々スティーヴ・ヒレッジがいたUrielというバンドから派生しました。Urielの名前が「urinal」に似ているとして、Eggへ改名しています。エッグはロンドン出身のバンドです。バンド解散後、メンバーのモント・キャンベルとデイヴ・スチュワートがカンタベリー系ミュージシャンらに合流したことから、カンタベリーシーンのバンドとして語られることが多いようですが・・・。

 1970年3月13日にリリースされたこのセルフタイトルアルバムは、DeccaのサブレーベルであるNovaから発売されました。アルバムは1969年10月にLansdowneとTridentスタジオで録音され、その時点でデイヴ・ステュワートとモント・キャンベルはまだ10代でした。10代でこの音楽を作って演奏してしまうなんて、ちょっと信じられませんね!

 このアルバムは、A面7曲、B面1曲という構成です。A面はA面で、全曲通して聞かせてしまうような曲構成が採られています。冒頭9秒間のSEに付けられた邦題が電光石火、続く、ホワイル・グローイング・マイ・ヘアとアイ・ウイル・ビー・アブソーブドの2曲は、ゆったりとした漂うようなメロディーラインで当時のジャズロックともハードロックともサイケデリックとも括りきれないブリティッシュロック然とした時代かかった音です。そうかと思うと、フーガニ短調でバッハの超有名なトッカータとフーガのあのフレーズをメランコリックなフレーズに混ぜて8ビートに載せてみて、はたまた、突然、リリカルなタッチの「ピアノ演奏による僕がピアノを弾こうとしたら、みんなが笑った・・・」、そして、なかなかハードで、ELPとヴァニラ・ファッジの間くらいをいっている「臆病者マクギリキュディーの歌」、そしてA面を締めくくる「卵ぐつぐつ」。

 そしてB面では、プログレレコードのアルバム構成の鉄則、面全体を使って20分に及ぶ「交響曲第2番」が演奏されます。「交響曲第2番」は4つの楽章に分かれているのですが、全体としては、オルガン中心の軽快なロックです。第一楽章の最初のほうにグリーグの山の魔王の殿堂が登場します。リック・ウエイクマンの地底探検のような唐突さはなく極めて自然です。第3楽章のブレインだけは、フリーフォームな中でかなりいっちゃった感じにノイズを出しまくっていてこの紗希どう纏めるんだろうと心配になるくらい引っ張ります。結局オルガンのロックに収束するんですけどね。

 ・・・と、まぁ、このように、一口で言えば、バラエティーに富んだアルバムです(^^)
 しかしながら、ポップさの欠片は皆無で、ひたすら、玄人嗜好というか実験的というか・・・。
そうは言いつつも、彼らの2ndや3rdに比べると、随分POPな仕上がりなんですけどね(^^)


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