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経営戦略とは「デザイン×サイエンス」である。

デザインと経営を主戦場に選び、経営を学ぶためにMBAの世界に飛び込んだものの、一般論ではなく、自分のことばでデザインとビジネスの関係を語ることはとても難しく感じる。

なぜデザインと経営の関係性を明かそうとするのか

MBA(グロービス)の学びでは「あの企業が成長したのは〇〇で差別化に成功したから」なんてふわっとした成功要因の分析は許されない。
業界の定義は、コスト構造はどうなっているのか…というところから具体的にどんな戦略のもと、どんな経済性が働いたのか、財務状況はどうだったのか、なぜ競合は模倣できなかったのかをしつこいくらいに問うていく。

一方、ビジネスの世界において日に日にデザインへの期待が高まっている昨今の流れを感じながら、MBAの文脈で「デザインがどう効くのか」という点について、デザインと情報設計、UX、マネジメントをコアに仕事をしてきた身としては明らかにせずにはいられない衝動にかられ、大学院でのクラスを機にまとめてみることにしたのである。

※ご迷惑をお掛けすることのないよう、あくまで大学院や所属組織の見解ではなく、私個人の解釈であることを先に断っておく。

経営戦略とは「デザイン×サイエンス」である

ここで冒頭のタイトルに戻る。
経営戦略とはなんぞや、ということを私なりの言葉で表現しようとした結果がこれである。ちなみにワードに対する解釈を明らかにしておくと「デザイン」については以下のように考えている。

デザイン=「”価値”をつくる営み」

一方新たに表れた「サイエンス」というワード。これは以下のような意味合いで使っている。

サイエンス=「(経済的な)”法則性”」

つまり、優れた経営戦略とは「誰かの価値をつくる営み」と「(経済的な)法則性」とが同居し、整合性が取れている戦略だという解釈である。

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デザイン(UX)が寄与するところ

経済的な営みの中で、デザインやUXが寄与するものとして大きいのは、まずは売上に寄与する顧客KBFとなる部分だろう。これは「商品が良いから買う」というグッズドミナントロジック的な価値創出ではなく、顧客のジョブを満たすことを前提に体験が設計されるような、サービスドミナントロジック的な寄与を想定している。(サブスクリプションモデルのサービスであれば、いかにサービス利用を継続し続けるかという点へのUXの影響が大きいのは言うまでもない。)
また累積的な寄与から「投資先」として選ばれ、資金調達に寄与することもあり得る。
「寄与」ではなく「影響」で言うならば、その体験を作ろうとすることによってバリューチェーン、ひいては人事にも影響を与える可能性もあり得る。
※もちろんコストへの寄与などもあろうが、これ以上挙げてしまうと何も言っていないのと同じになってしまいそうなので、このくらいにしておく。

経済的法則性からの循環

経済的法則性については、ここで私が語るまでもないので割愛するが、経済性が働いたことで拡大した利益をバリューチェーンの強化や体験設計、サービス設計に投資することができる。
この循環によって他社が容易に真似しえない模倣困難性のサイクルができているのではないだろうか。
GAFAなど今日的に強い力を持つ企業の類が、メーカーではなくプラットフォーマーに移行していっているのも、こういったデザイン(UX)の力をうまく戦略に取り込んでいることの現れのように思われる。

企業がUXに何を求めているか

トヨタの「MaaS」よろしく、メーカーのビジネスが「1台何円」というモノ売りビジネスから、そのモノによってもたらされていた価値を抽象化し、サービスとして提供することで利益を得ようというゲームチェンジが起こっている。

先日、千葉工業大学 安藤昌也先生の研究室による「価値のカタチ」展に参加した。企業がUXに何を求めているのかというのを、複数メーカーのUXに対する取り組みから読み取ることができないかと考えたからである。
発表には従来通り製品のブラッシュアップにユーザー評価を用いているケースもあったが、そこで感じられたのは、自分たちの製品やサービス、自社に対する価値の再定義を求める姿勢だ。
なんのために?…ゲームチェンジのためであろう。

上記の図の左側に、「ケイパビリティ」「アセット」という項目を配し、UXから矢印を引いたのはそうした意図である。
価値の再定義による「ケイパビリティ」「アセット」の把握があり、それをコアにした新しい戦略(つまりゲームチェンジ後の循環図)が横に並ぶ…というイメージである。

さいごに

だいぶ長々と書いてしまったが、できること・できないこと、強いこと・弱いこと、その関係性を曖昧にせず把握しておくことはデザインとビジネスが共存するうえで非常に大事であろうと思っている。

デザインとビジネスの辺境にいる人間として、常にこのバランスに目を配り、定性と定量を行ったり来たりしながら相互に好影響を与える環境を作っていけたら面白いだろうと思う。


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