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世界を変えようとしているスタートアップが、なぜ「ニュースバリューがない」と言われてしまうのか #スタートアップPR

THE BRIDGE(https://thebridge.jp/)の編集長・平野さん(https://twitter.com/kigoyama)主催の勉強会に参加してきました。

わたしは、自社(と支援先)の広報PR担当の立場。
平野さんは、わたしたちのつくるニュースの本質を捉え、それらがより伝わるコンテンツをつくり、読者に価値を提供する、メディアの立場。

一見違う立場のようですが、PRそのものやPRコンテンツの本質を追求する姿勢は同じですし、企業とメディアがそこをきちんとすり合わせられている状態がメディアリレーションの成功とも言えるのではないかとわたしは理解しているので、平野さんの勉強会は本当にいつも学びが多いです。

その上で、わたしたちは平野さんから“「タイトル」を考えてみましょう”という宿題を出されていました。

「タイトル」とは、単に記事の題名ということではなく、自分たちの広報PRの活動全般に必要なキャッチコピーみたいなもの。

簡単なことではないと思っていたけれど、これが本当に難しい・・・・・・

ということで、もう少しヒントを得ようと参加した今回の勉強会での学びについて、メモしておこうと思います。

わたしの「ニュース」は、みんなの「ニュース」ではない

“スタートアップは、認知がない”

スタートしたばかりの会社なので、これはあたりまえの話です。なのでわたしたちは、まずは認知されるために、ニュースやPRコンテンツをつくって、伝え広めようとします。

もちろん、↓を意識した上で!(平野さんの資料より)

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その上で、今回の宿題である「タイトル」について探っていくと、どうやら、わたしたちがつくっていくべきニュース(≒コンテンツ)には2種類あるようだ、ということがわかってきました。

ひとつめは、“Iメッセージ”、つまり、わたし(自社)が主語のメッセージです。
「資金調達をしました」「サービスをリリースしました」「素晴らしい仲間がジョインしました」などです。

投資家から資金調達ができたということは、期待されている証拠。素晴らしい仲間がジョインを決めたのも、将来性がある証拠。それらのニュースは、採用候補者の後押しになるでしょうし、別の投資家の注目を集めることにもなるでしょう。

一方で、それを見た人がなかなか「自分ごと感」を持ちづらいかなーというのが“Iメッセージ”です。わたしのニュースはあくまでわたしのニュース、わたしからわたし以外のみなさんへのお知らせ、の域を出ません。そうなると、共感してくれる人はとても限定的になります。

わたしとわたし以外を隔てない、わたしたちの「ニュース」

そこで考えたいのが、ふたつめのニュースです。

“Iメッセージ”と来たら“Youメッセージ”と言いたいところですが、わたしは“Weメッセージ”だと理解しています。つまり、わたし(自社)とわたし以外(自社以外)を隔てない、目線のそろったメッセージ、ということです。

一つのことを深く追求したりずっと同じ環境にいたりすると、それがあたりまえになって、そうではない人との「認知のずれ」に気づけなくなってしまいがち。でも、そのずれをそのままにしていては、共感を得られるコミュニケーションは難しいと思います。

たとえば・・・・・・

わたしが、外国人材の日本への受け入れに役立つ便利なサービスを開発・提供しているスタートアップだとします。いろいろな課題を解消する本当に画期的なサービスなので、ユーザはみんなハッピーになると信じています。だから、どんどんPRして、ユーザを増やしていきたい!チームも大きくしていきたいから、採用もしたい!

でも、わたしとわたし以外の人には、こんな「認知のずれ」が存在しているかもしれません。

<わたし(自社)の認知>
日本の人口は減少している。少子高齢社会。
そうなると、人材不足が深刻になる。人材採用も厳しくなる。
そんな現状に、政府は働き方改革を推進している。
非効率な業務を効率化するためにIT・デジタル化が進んでいる。それをデジタルトランスフォーメーションといい、何年も前から騒がれている。
効率化だけじゃない。リソースのシェアリングやデータドリブンな業務最適化といった手段もある。
労働力を増やすという手段もある。グローバル化やダイバーシティの文脈からも、外国人材を受け入れていくことは素晴らしい。日本は生活水準や治安などの面から人気もあるし、優秀な外国人材は日本を活性化してくれる。法改正なども含め、もっと推進していくべきだ。
でも、言語の壁、来日時の情報格差の壁、手続きのわかりにくさという壁、諸々の理由で受け入れを嫌がる人たちの壁など、課題はたくさんある。
それらの課題解決に、わたしたちは挑む。
<わたし以外(自社以外)の認知>
日本の人口は減少している。少子高齢社会。
そうなると、人材不足が深刻になる。人材採用も厳しくなる。
そんな現状に、政府は働き方改革を推進している。
非効率な業務を効率化するためにIT・デジタル化が進む・・みたい。
(そういえば最近うちの職場でも勤怠管理システムが新しくなったな)
そういえば、わたしの仕事って、AI?に奪われる・・の?
(いや、そんなことすぐには起こらないでしょ)

・・・・・・ありそうありそうありそう(*_*;)

この状態で、わたしが「課題の解決法」≒「サービスの特徴」だけを発信してコミュニケーションしていたらどうでしょうか。

同じ課題に気づいている人は共感してくれるかもしれませんが、そもそもなぜそれらが壁なのか?なぜ突破しなければいけないのか?なぜ外国人材を受け入れなければいけないのか?という目線合わせができていない人とは、「認知のずれ」は埋められないまま、コミュニケーションは平行線になってしまわないでしょうか。

そこで、目線を合わせた“Weメッセージ”が必要になる。そのメッセージこそが、「タイトル」なのだということがわかってきました。

自分たちの名前を使わずに、自分たちを語る

わたし(自社)とわたし以外(自社以外)を隔てない、目線のそろったメッセージが、“Weメッセージ”。そして平野さんが「タイトル」と呼ぶもの。

それはどんなものかというと、“We”をより広義にとらえ、「自分たちの名前を使わずに(主語にせずに)、自分たちを語る」ということです。

じゃあ、作ってみよう!
なのですが、THE BRIDGEに掲載されたコンテンツの実際の例をいくつか挙げてみます。

■Iメッセージ
「デジタルトランスフォーメーションに挑むスタートアップに興味がある人向けの採用イベントを開催します」
■Weメッセージ
「第4次産業革命の今、私たちはどこに人生をかけるべきか」
■Iメッセージ
「高度外国人材(インバウンド・タレント)のライフイベント支援プラットフォームを目指す株式会社Linc 新役員就任に伴う経営体制強化のお知らせ」
■Weメッセージ
「優秀な高度外国人材を日本企業が獲得する方法、あるいはその理解について」
■Iメッセージ
「パーソナル・コーチングサービス「mento」を運営する株式会社ウゴク シードラウンドで総額4,000万円の資金調達を実施 サービスを正式ローンチ」
■Weメッセージ
「コーチングが必要な4つの理由、あるいは成長のための灯火を見つける方法」

・・やっぱり“Weメッセージ”の方が、「自分ごと感」として捉えやすい気がします。“Iメッセージ”よりも、クリックしそうな気がします。

メッセージを伝えたい人、行動を起こしてほしい人、巻き込んでいきたい人、そしてわたし自身。みんな含めて”We”というメッセージをつくっていく。その意味と価値。わかってきた気がします。

世界を変えようとしているスタートアップが、なぜ「ニュースバリューがない」と言われてしまうのか

タイトルに戻りました。

メディアの方に実際に、ダイレクトにではなくても、「ニュースバリューがない」「記事化は難しい」と言われてしまった経験、ありませんか?
「記事書きますねー」と言ってくださったのに、取材までしてくださったのに、なかなか動いていただけなかった経験、ありませんか?

正しいことを、素晴らしいことをしようとしているのに、なぜたくさんの人に届かないの?届けてもらえないの?そんな風に思った経験・・

わたしはあります。

でも、それはその言葉通りの意味というよりも、「認知のずれが解消されていない」という状態で、「自分ごと感になりづらい」「受け取りづらい」ということなんですね。

記者さんだって、全知全能ではありません。「わかりやすい」「おもしろい」「新しい」「素敵だ」「世界が本当に変わるのかもしれない」「期待したい」「自分も仲間になりたい」「応援したい」「広めたい」というような“とっかかり”がないと、共感もできないし、そもそもわからないものについて自分の言葉を紡ぐなんてできませんよね。

もちろん、“Iメッセージ”も必要です。それは、“I”であるわたしにしか紡げない言葉だと思うから。自分たちの存在を示す言葉だから。

一方で、本当にわたしが世界を変えようとしているスタートアップなのであれば、それはわたしだけでは実現できないのだとまず改めて認識すること。そして、大きなことをするからには大きなうねりをつくらなければいけない、そのためには“Weメッセージ”が必要なのだと認識すること。これらが必要なのだということを学びました。

注意したいのは、一つの“Weメッセージ”(「タイトル」)を作って終わりにしないこと。PRというのは、継続的な関係構築の活動です。自分たちの存在と活動を、“Iメッセージ”と“Weメッセージ”の両面で発信し続けていくこと。それによって、人に伝わり、共感してもらいやすくなり、採用や営業、さらにメディアリレーションに効果を発揮する、という流れができるはずです。

方法論については、もう少しまとめたいと思います。(まとまるかな?)
日々是勉強です。

ちなみに、もう一つの学びとして、やっぱり仲間がいるということは尊いです。他の参加者の方が「広報PRの勉強会って座学が多くてワークショップがなかなかない」とおっしゃっていたので、わたしもそういう場をつくっていけるといいなぁ(ファシリテーションはできないかもだけど、主催はできるかも?)なんて考えています。

引き続き、がんばります!みんなでがんばりましょう!
#写真がないという・・広報として致命的なやつ

平野さん、いつもありがとうございます!今後ともよろしくお願いいたします!
結論、なぜファッションスタイルを変えたのですか👚?

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