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喜びの中で思うこと

日帰りやお泊まり含め、毎日常連さまとの再会が実現している。『人気の山小屋になっちゃったね』『会えて嬉しいよ』『毎年どんな進化があるか楽しみにしてたよ』など沢山の声を頂戴する。
中には常連さまであっても、満室のためご予約をお断りし、他の山小屋に宿泊しながらご挨拶に来て下さるお客様もいらっしゃるので、大変心苦しい気持ちもある。ご予約は申込み順としている為、ご来館頂いた時に来年の予約をされる方も珍しくない。大変ありがたいことだ。

毎年来て下さるお客様との嬉しい再会
常連さまの娘さん就職祝いに初尾瀬!沢山おめでとう!

こうした再会を10分20分ささやかな会話を楽しみ、次回の再会をまた強く誓うのだ。そして7月の予約まで頂いた。色んなお客様に支えられている山小屋だ。

雨上がりのダブルレインボー

話しは変わるが、山は天候が大きく影響するレジャーである。天気が悪ければ、景色も見えないし、装備も増える。登山道も状態が悪くなる為、無理に来させるような要求は出来ないが、1日中雨だったとしても、植物観察や雨ならではの情景を楽しむ事は出来、尾瀬小屋はグルメを目的の一つにすることができる。現に雨でもお泊まりにいらっしゃるお客様は沢山いる。もちろん、前述した通りお持ちの装備や経験を踏まえた上で引き続き楽しんで欲しいというのが大前提だが。

尾瀬小屋館内図

山小屋の予約コントロールは非常に難しい。
どのお客様がキャンセルし、キャンセルしないか読めないからだ。仮に50名様の予約を確定し、宿泊を希望するその他のお客様を全てお断りしたとしよう。予約を受けた50名様が雨でキャンセルとなり来ず、お断りした50名のお客様は雨でも別の山小屋にお泊まりに来た。なんてことも当たり前にあるからだ。
そうなると50名様分の売上損失だけでなく、食材の仕入れ修正、スタッフのシフトコントロールなどを行わなければならないから本当に大変だ。これは尾瀬小屋に限らずどの小屋にも言えることであり、都会の宿泊施設よりも圧倒的に天候で左右される環境下にあるといえよう。

特に前日キャンセル、当日キャンセルは山小屋へのダメージは深い。仮押さえ感覚で気軽に予約しないのが懸命でしょう。台風や警報級の気象状況でない限り、気軽なキャンセルもまたしかりだ。『雨でも行きたい』『雨でも泊まりたい』と考えている人は沢山いるということを念頭におきましょう。

営業中に手を止め予約を受け、営業中に再び手を止めキャンセル手続きをする。人手不足が深刻な山小屋や個人経営の山小屋にとっては、この些細なオペレーションも負担になるだろう。安全面からも、山小屋の予約は装備やルートの確認、注意事項の説明など伝える項目が多い。そういう背景を理解できるかどうかは登山者の+@な意識が必要になるだろうとも考える。山行ルートが決まっていない、何かあった際の緊急連絡先の準備もない、人数も決まってない状態でとりあえず予約してくる人が普通にいる現状を、正しい情報発信で何とか意識を向上させたい。

雨予報でも晴れることも。逆もしかり。

恵みの雨があるこそ、お風呂にも入れるし、お水は飲み放題、植物が育み尾瀬の景色は守られている。お客様のためにも晴れは願うが、雨にも感謝すべき視点はあるものだ。

尾瀬小屋
工藤友弘


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