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TetonBros.との出会い。

この写真は2023年2月に行われた、尾瀬小屋の雪降ろし作業の際に、tetonbrosの写真撮影を担当している太田カメラマンが撮ってくれたものである。
特別に写真を頂戴した。

tetonbrosとの出会いのきっかけとなったのは、尾瀬の“冬”にある。尾瀬では山小屋を維持する為、避けては通れない『雪下ろし』という除雪作業があるのだが、雪下ろしの知識や技術が乏しい私には、除雪にあたるメンバーの協力体制も完全には構築出来ていなかった。

そんな時、檜枝岐村にある民宿檜扇の女将さんから、『檜枝岐村のガイドチーム“RAKU”の平野崇之さんに会うといい』と紹介を受けたのが始まりだ。

私が尾瀬小屋の経営を引き継いでからの二年間は、雪下ろし手段としてヘリコプターをチャーターし除雪を行っていたのだが、いかんせんチャーター費用や人件費などを考慮すると250万円程度の高額な除雪コストがかかる。晴天日が続けば良いが、吹雪けば何日もヘリコプターが飛ばず予定していた日程が10日から二週間近くリスケになる事もあった。

作業人員の確保は困難を極めたし、無事にヘリコプターが飛んだとしても、万が一作業中に天候急変した場合には僅か2~3時間で作業が終了となる最悪のケースもある。メリットデメリットを天秤にかけた時リスクが完全に上回っていたのだ。

ヘリでの尾瀬入り
雪に埋もれた尾瀬小屋

そんな二年の経験を経た私は、除雪の方法を見直す必要があると考え、尾瀬マウンテンガイドの浅井理人さんを通し、平野崇之さんやRAKUのメンバーをご紹介頂き、2023年の除雪協力を正式に依頼する事にした。突然の相談にも関わらず、熱心に話を聞いて下さり尾瀬小屋の雪降ろしを実行すべく話が進んだ。

その後もRAKUのメンバーで前向きな協議を重ねてくださり、何度か打ち合わせや意見交換を経て協力の了承を得る事が出来た。

https://hinoemata-raku.com/

前述したヘリコプターとは違い、
スキーによる入山の場合、辿り着けるだけの体力は必要なものの、山小屋に宿泊しながら数日かけてしっかり除雪が出来るという最大のメリットがある。

とはいえ、私はスキーに関して、超がつくほどの素人で、RAKUのメンバーやtetonさんと同行していいレベルではない。緊張や不安を抱きながら、浅井ガイドにスキーの基礎を教えて頂き、雪降ろしへと向かう準備を進めていた。

凍てつく白銀世界

厳しくも優美な姿を見せる燧ヶ岳
真っ白のキャンパスのような尾瀬ヶ原

厳冬期の尾瀬は人を簡単には寄せ付けず、
尾瀬関係者でも山小屋関係者くらいしか、見晴地区には入って来ないだろう。私も熟練メンバーの導きがあってこそ辿り着く事が出来た一人だ。

今年の雪降ろしは、私にとっては更なるサプライズがあった。それは冒頭にも述べたtetonbrosの雪下ろし参加だ。tetonbrosは檜枝岐村をホームマウンテンと位置付けるほど、RAKUや村と深い関係にある。ウェアの開発テストや修正など会津駒ヶ岳や燧ヶ岳で繰り返し行われているのもその理由の一つだろう。

直接的にtetonbrosと尾瀬小屋に関係があった訳ではないにも関わらず、RAKUのメンバー同様に檜枝岐村や尾瀬の為ならと、普通では実現しないような、tetonチームが雪下ろしへと参加する、という夢のような出来事が起きたのだ。この時の驚きと感動は今でも鮮明に覚えている。

雪上を突き進む雪下ろしメンバー
雪に覆われた見晴地区

雪下ろし作業は控えめに言って命がけの作業だ。
言い過ぎと捉える人もいるでしょうが私はそう思う。

判断を誤れば転落や雪の下敷きともなりかねない。屋根に登ればとてつもない高度感があり、自分の支点を確保するのも容易ではない。常に極寒の環境で悪天候のリスクも伴う。

そんな作業に参加してくださったRAKUをはじめとするtetonメンバーは、私に命を預けてくれているパートナーである。

私はこの出来事を皮切りに、
恩返しとして何が出来るかは分からないけど、関わって下さったRAKUのメンバーやtetonさんに出来る事を全力で返していこうと心に決めたのだ。

深まる絆

恩返しどころか、tetonさんの更なる協力を得て、第一ステップとして今年から尾瀬小屋のスタッフウェアを全てtetonbrosに統一した。

これはスタッフのモチベーションアップに大きく影響したし、朝晩の寒暖差が激しい尾瀬での生活において、Tensleep shirtやLuft jacketなどはシーズン通して大活躍だった。レストランを併設する我々は、暑い厨房から寒いテラスを行き来したり、ヘリ作業や登山道整備を行ったりするため、脱着が容易で軽量、持ち運びやすく耐久性が高いtetonbrosのウェアはまさにベストアイテムだった。

尾瀬小屋のレストランは多い日には数百人が訪れるため、お客様が瞬時に小屋のスタッフだと見分けがつくよう、週末は全員同じウェアを着用するよう取り決めた。お客様からは『何でteton着てるんですか?』『それ欲しいです』『カッコいい』『試着させて欲しい』など沢山の声を頂戴する度、全ての問いかけに前述したストーリーを説明してきた。単なる取り扱い店舗と思われたくないのと、tetonbrosは簡単に省略出来る関係ではないし、しっかりとお話すべきポイントだとスタッフ全員が共通認識を持っている。お客様も我々もお話する度に盛り上がり、新たなtetonファンになってくださった方も沢山いた。本当に嬉しい世界が広がった。

2024年tetonbros×尾瀬小屋コラボTシャツ

来年にはtetonbrosと尾瀬小屋のコラボTシャツが限定販売となる。歩荷を応援している尾瀬小屋の背景を多分に理解して下さった、感無量の商品に仕上がった。私自身も袖を通す日が楽しみだ。

既に、小屋にはTシャツの原版を展示しているのだが、
『必ず買います』というお客様が多く、その声は予定販売枚数を圧倒的に上回っている。

このように、私達のような小さな山小屋一軒に対し、本気になってくれる。それも妥協なく、最高品質で。
それがtetonbrosというブランドであり人なのだ。

2023年雪下ろしだけでなく“ウェア”という部分で私達を支えて下さった。本当にありがとうございました。

尾瀬小屋とtetonbrosの出会いが形となって、色んな人達にも商品として届けられる。また尾瀬が私の夢を叶えてくれました。

2024年も沢山のドラマが生まれそうだ。

尾瀬小屋
工藤友弘

平野崇之さんと




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