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#新型コロナウイルス感染症
奇妙な変異株オミクロン
<第12回>
日本では、2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が感染症法上の「第5類感染症」に移行してからも感染者数がふえつづけており、7月に入って日本医師会が「現状は第9波と判断するのが妥当」と発表した[1](ただし、数日後政府はこれを否定)。第5類移行で全数把握されなくなり、定点あたり報告数から推測するしかないが、6月、7月と明らかに感染者数は増加している。この波
パンデミックをもたらした「D614G変異」
<第11回>
SARS-CoV-2は変異しつづけている。初期に採取されたPANGO系統分類のA系統(A株)とB系統(B株)のうち、その後世界的に広がったのはB株だった。2020年のはじめ、そのB株からB.1株が派生する。はっきりとはわかっていないが、出現時期は1月はじめと考えられており、おそらく中国国内で出現して、それが旅行者とともにヨーロッパにもたらされた。イタリアでは、2020年2月から3
最初の感染はいつ、どこで、どのように起こったか
<第10回>
これまでのところ、SARS-CoV-2の起源にかんしては、野生動物か研究所漏出か、2023年6月現在、結論は出ていない。多くの研究者は野生動物起源と考えているが、その決定的な証拠はない。そこで、感染のはじまり(大元)を探ろうと、さまざまな方面からの研究が試みられている。その1つが、進化生物学や生物情報科学(バイオインフォマティックス)からのアプローチだ。
SARS-CoV-2
野生動物取引と動物由来感染症のリスク
<第9回>
A型インフルエンザウイルス同様、ヒトコロナウイルスも人獣共通感染症=動物由来感染症であり、オリジナルはすべて動物にある。すでに書いたように、SARS-CoVはコウモリが自然宿主でありハクビシンあるいはタヌキを介してヒトに感染したと推測されている。MERS-CoVもまたコウモリ由来で、ヒトコブラクダが媒介したことがほぼ確実である。
これに対してOC43の自然宿主はネズミの仲間だと
19世紀の「ロシアかぜ」の原因はコロナウイルスか?
<第8回>
スペインかぜに先立つこと四半世紀、記録が残る最初の呼吸器感染症パンデミックとされるのが、19世紀末、1889年〜1893年にかけて世界中でおよそ100万人を死亡させたといわれる「ロシアかぜ(Russian flu)」である(表参照)。ただし確実とはいえないが、歴史上の文献からは、インフルエンザによるパンデミックが1510年以降、何度か発生したと考えられている[1]。
ロシアかぜ
人獣共通感染症としてのコロナウイルス
<第7回>
21世紀の初頭、ヒトに感染するコロナウイルス(ヒトコロナウイルスHCoV)として知られていたのは、HCoV-229E(229E)とHCoV-OC43(OC43)の2種類だけだった。両者は1960年代に相次いで確認された。229E、OC43とも、研究者のサンプル番号に由来する。OCは組織培養(Organ Culture)のイニシャルである。
後述するHCoV-NL63(NL63)
100年前の「スペインかぜ」パンデミック
<第6回>
インフルエンザウイルスによる歴史的なパンデミックが、1918〜1919年にかけて流行した「スペインかぜ」だ。スペインは発生国でもないし、最大の流行国でもなかったが、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っただなかで、参戦国では報道統制により感染者や死者の報告が公表されなかった。それに対して中立国であったスペインでは統制がなかったため、まるでスペインだけで流行していたように見えた。それで、ス