仕事をつくる
ーー空き地を見つけると、勝手に空想の建築をデザインし、
所有者が分かれば、こういうものを建てないかと提案に行った
仕事は自分でつくる
安藤忠雄の「仕事をつくる-私の履歴書」を片手に、2017年を終えた。私はこの人の建築が好きだと思っていて、しかしそれ以上にきっと、この人の考え方に惹かれているのかもしれないと改めて実感した。
いつだって、ついつい自分に何かをつけてしまったり、現状で満足したり。雑草魂というか、「でも」をつけて何かを忘れてしまう。
自分の生まれた大阪という場所に誇りをもち、ただ周りの人に感謝して、積み上げて、学んで。
安藤さんは、何に出逢って、何を見てきて、何を考えたのか。
挑戦、探究心、気力、集中力、今の自分の行動を反省するのにはちょうど良いな、と。
私の通う中学はコンクリート打ちっ放しの、中央には円形の360度ガラス張りになっているホールがあり、屋根のない廊下や、入り口から突き抜ける大きな木・・・ピロティのある体育館の近くには、芝生の空中庭園があるような学校だった。
雪が降れば、渡り廊下は通行禁止になり、1階通行になる。室内は環境の変化が激しく寒い、暑いが常だった。雨が降れば、教室移動も一苦労。
田舎の私にとっては衝撃的で、
建物の格好良さと住みやすさについては3年間考えさせられる環境であった。
代表作の住吉の長屋に住んでいる人はこんな気持ちなのかもしれない・・・と彼の存在を知った高校時代に思ったことがある。
今、その環境に感謝すべきはその時代に笑いながら文句を友達と言い合った記憶であり、記憶の中の写真、何かの気付きに敏感になったことかもしれない。
コンクリート打ちっ放しの“格好良さ”にもどこか惹かれるものがあったし、常に天気の変化には何かを思い、気温と言うものを3年間体験して、歩けば音が波及する廊下は私自身好きだった。
なにかを感じて生きて生きたい。
「仕事は自分でつくれ」という言葉。
何を自分が仕事とするのかと考えた時に、全部が仕事になるんだなと考えたことがある。
この色褪せたポスターも、日差しの差し込む玄関に並んでいる靴も、手に持っているビニール袋も誰かがつくっている。
業務的なことは教えてくれるが、目指している場所への行き方なんて誰も教えてくれない。
何が必要なんだろう。なにをすれば良いんだろう。
自分の仕事は、仕事は自分でつくれ。
仕事を見つけるには、もっとたくさん考えなくてはいけないなあ。
▷「安藤忠雄 仕事をつくる―私の履歴書」
-安藤 忠雄 日本経済新聞出版社 2012-03-10
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