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元教員、現母親が見る「夏休みの宿題」とAI【エッセイ】

長男が小学生にあがり、夏休みに入る際に最も心配していたのが
「夏休みの宿題」の量

自分が子供の頃を思い返すと
・毎日つける一行日記
・貯金箱の工作
・絵画コンクールへの出品作品の制作
・習字
・読書感想文
・自由研究
・各教科のワーク
などなど
長い夏休み中にしなければいけない宿題が山のようにあったように思います。
年の近い親戚も多かったので、家族、親戚総出で一斉に習字をやったのを覚えています笑

母親になった今
「親として忘れなく宿題を管理できるだろうか」と心配していましたが
小学1年生ということもあり、最低限やらなければいけないのが
・ワーク
・音読
・計算
・タブレット機器の練習
程度で
読書感想文などの提出は、自由とのことでした。
拍子抜け半分、安堵半分…
既にテレビ漬けになっているので、他にやることを提案して焚きつけるのに必死の毎日です。

今ではこんなしがない主婦ですが
結婚するまで数年、高校で教員をしていました。
激務に身体も心も耐えられずに辞めたというのが本音ですが…

夏休みといった長期休暇は
担当教科から宿題を出すこと
担任するクラスの生徒の提出物を把握すること
休暇明けに一気に提出物として一人ひとりチェックすること
毎日名簿とにらめっこして、提出遅れの子には催促をする
これが結構大変でした。
特に大変なのが「読書感想文」でした。
提出された感想文を読んで、特に良かったものを選んで学年に提出する必要があったからです。

ご存じの通り、教員には様々な業務があります。
授業の準備
クラス運営
事務作業
分担されたその他の業務
委員会や部活動の顧問
保護者の方とのやり取り…
合間を見て読書感想文のチェックをしていました。

すると、普段提出物の遅れが特に目立つ子が、とっても内容の濃い読書感想文を書いているではありませんか!
あんまり嬉しくて、その後その子に会ったら「めっちゃ良く書けてたね!」と褒めました。
その子も「せやろ?」と照れた様子でぽつりと言いました。

ただ、妙なことが起こったのです。
別の数名の生徒の読書感想文がその子と
まったく同じ本を選び
まったく同じ構成なのです…
そこで、文章の一部をネットで検索すると
「上手な読書感想文の例」といった感じでヒットするではありませんか。
私はその時愕然としました。
やられた!と
…もう10年近く前の話です。

今やAIで、どんなきれいな文章も一瞬で生み出される時代。
もはや提出された読書感想文がAIで生成されたものなのか見抜くのは不可能でしょう。
大人だって生成AIを重宝するもの。
ならいっそ子どもたちにはAIやメディアとの上手な付き合い方を学ばせ
悪用させないモラルを説いた方が有効な気がします。

今の先生方がちょっとでも業務を軽減できるなら
夏休みの宿題も今回長男が持ち帰ったような「自由参加」でいいのではないでしょうか。
私の時代から、ニュースを見ているとあまり教員の待遇は変わっていない
むしろ悪くなっているように思います。
アメリカに比べて教育は10年遅れていると言われる、日本。
次世代を担う子供たちの教育を、教育現場を蔑ろにして
日本の未来は明るいのか。

昼夜休日問わずがむしゃらに働いていた若き日の自分に
「今の人と結婚して、子ども3人もいるんよ」
って言ったら腰抜かすだろうな笑
皆が寝静まって思いを馳せた夏の長夜のことでした。

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