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オススメの本100冊(感想付き)(マーケティング)

※専門書は除いています。
※ややネタバレありです。



【91】鈴木政次『スーさんの「ガリガリ君」ヒット術』

著者は1981年に赤城乳業が発売したアイスキャンディ「ガリガリ君」を大ヒット・ロングセラーに導いた「ガリガリ君の育て親」。子どもたちの「弟分」を想定したキャラクター設定、子どもたちが外でも片手でかき氷が食べられるようにした商品コンセプト、商品名は7文字までとしたネーミングなど、商品開発のコツが詰まっている。「コーンポタージュ味」など奇抜な商品を世に出した秘訣なども読みどころ。



【92】 髙田旭人『ジャパネットの経営 東大卒2代目の僕がカリスマ社長の跡を継ぎ大事にしてきたこと』

旭人氏はあのジャパネットたかたの創業者にしてテレビ通販でおなじみのプレゼンター髙田昭氏の長男。父と軋轢を生みながらも、ジャパネットの「厳選集中主義」を磨き上げ、会社を成長させている。24時間1商品を売りまくる「チャレンジデー」を実施したり、豪華クルーズ船ツアーをカスタマイズして売り出したりと、なかなかの挑戦者。組織と自己の管理術なども披露している。


【93】中村朱美『売上を、減らそう たどりついたのは業績至上主義からの解放』

著者はランチの100食を売り切った時点で店じまいしてしまうホワイトなステーキ丼屋『佰食屋』の創業者。だから残業ゼロだし、フードロスも解消しています。個人的には100食という絶妙なノルマと、『佰食屋』という希少性を前面に出したネーミングにあると思う。コロナで苦戦しているとも伝え聞いていますが、応援したくなる経営者である。


【94】世耕石弘『近大革命』

志願者数を10年間で2倍にし、4年連続志願者数日本一を達成した近畿大学の総務部長(当時)による著。プレスリリースを年間474本打ったり、キュレーションサイト、ブログ、SNSなどを積極的に取り込んだり民間顔負けの広報活動を行っています。関西ならではのお笑いのセンス、近大のシンボルともいえる近大マグロをうまく使っているのもポイント。


【95】木村隆之/小沢コージ『最高の顧客が集まるブランド戦略 ボルボはいかにして「無骨な外車」からプレミアムカーへ進化したのか』

木村氏は2014年にボルボの日本法人社長に就任し、機能的便益と情緒的便益の両方を高めて、ドイツ勢やレクサスに匹敵するプレミアムカーへの仲間入りを図った。本人は述べていないが、デビッド・アーカーのブランド論に沿った論理的なブランディング戦略を述べている。もともとスウェーデン車で(親会社が中国だとしても)、安全機能は有名なため、それらのブランド資産を有効に使ったのである。


【96】ジョン・ムーア『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』

著者はスターバックスで8年間マーケティングプログラム作成・実行に携わっていたコンサルタント。カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を何よりも大切にしているのが伝わる。『「ブランディングという魔法の粉を振りまけば、勝手に人を惹きつける息の長いブランドができる」というのは幻想』という言葉は、身に染みる人も多いのでは。中心街に集中的に出店(Main&Main)し、「出店が最大の広告である」という戦略も勉強になる。


【97】田端信太郎『MEDIA MAKERS 社会が動く「影響力」の正体』

今やユーチューブを中心に活躍する田端信太郎氏が、2012年、まだLINEの前身の社員の時に書いたメディア論。趣旨は①ブランドとしてのメディア(個人メディア含む)の矜持を持たないとメディアはもたない②メディアはコンテンツを規定する――くらいのことで、あとはペルソナ、フローコンテンツなどの基礎についてなのだが、田端氏、抜群にたとえ話がうまい(馬具メーカーだったエルメス、CDの長さ、ファイナンシャルタイムズがピンク色の理由など)。社会人一年生かなんかのメディア担当にはぴったりの本だと思う。


【98】池田純『空気の作り方』

横浜DeNAベイスターズの初代球団社長で一躍人気球団にし黒字を達成した池田純氏。データではなく顧客の、世の中の、組織の空気を読み、作るということにつきますかね。やはり野球場としてではなくボールパークとして、顧客体験を重視していることもわかります。※退団後の池田氏は不正経理などのスキャンダルで退職しています。


【99】 古森重隆『魂の経営』

富士フイルムが写真フィルムという主力商品を失う「本業消失」の危機のなか、果敢に多角化を進めて成長させた立役者である古森重隆富士フイルムHDCEO(当時)。61頁の「四現象マップ」はアンゾフのマトリクスそのもの。理路整然と多角化経営を進めてきたことがわかる。「ベストは何かといえば、自分で変化を作り出せる企業になることだ」というリーダーとしての強固な意志もうかがえる。


【100】 桜井博志『勝ち続ける『仕組み』をつくる獺祭の口ぐせ』

デービッド・アトキンソンの中小企業論にもつながるような気がするが、「勘と経験」を言い訳にするメーカーが多すぎる。特に伝統ある産業はそうでしょう。獺祭の酒造メーカー・旭酒造を継いだ桜井氏は、徹底した品質管理と大規模な設備で、日本一の日本酒を作り上げた。『ブランドは「作る」のではなく「守る」』という名言も残している。

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