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子どものやりたいことと、親の都合をどう共存させれば良いのでしょう

(2020年2月 親子育 目白講演会より#1)

みなさん、おはようございます。

私は子育ての大事なことをぜひ伝えたいという思いで、去年の3月に大学を退職してから、親子育の活動を始めました。

今まで私は、自分で3人の子どもを育てましたけれども、その経験から子育てで本当に大切なことを多くの皆さんに伝えなきゃいけないと思って、今活動を続けています。

この大切なことを伝えたら、子どもたちの意欲がでて来るのに。
わが子を「楽しく生きる力がどんどん出てくるような子に育てよう」と思っているのに、皆さんがしないことが1つあると私は思うのです。

例えば、私が子育てしていた時の話。

一番上の子が1歳2ヶ月ぐらいの時です。
真冬の寒い時に、ベランダへ自分でドアを開けて出ていっちゃって、もちろん裸足ですよ。
靴下は履いてますが裸足で出て行って、ベランダの脇にある水道から水をじゃあじゃあ出してたんですよ。
なんか水音がするなと思って行ってみたら、そこに娘がいるわけですよ。
じゃじゃあ出しているので、ドアを開けて靴を履いて出ていこうと思ったら、娘がなんて言ったと思いますか。

「ママ、あっち」って。

たった1歳2カ月の子がですよ。
その言葉に私すごいびっくりしました。
こんな小さな子どもでも、自分の意思をちゃんと言うんだと思ってね。

「ママ来ないで」でもなければ「ママだめ」でもないんですよ。
「ママあっち」って。
良い言い方でしょ。ダメと言ってない。
それでびっくりして私はどうしたかっていうと・・・・

みなさん、そういう時、どうします?
もうビショビショになってますよ。
もう水道のところでビー なんてやってるから。

Aさん:「着替えさせる。」
その前には?
Aさん:「ダメっていう」
Bさん:「やめなさい」
やめなさいですね。

あなたはなんて言いますか。
Cさん:「お水止めて!ダメっていう代わりに、水を止めてですね。」

ほら、だいたいダメって言っちゃうでしょ。

私はね、
その「ママあっち」って言われて驚きと同時に、どうしようかって思いましたよね。

でも私は思い直しました。
水に濡れてでもやりたい、という子どもの気持ちから
「ママあっち」っていうんですから、そんなに言うなら、いいや、濡れればいい、と思ったんです。
濡れてびしょびしょになって、冷たくなれば自分でやめると思ったのね。

それで私は引っ込みました。
「ママあっち」っていうんだから、「はい」って言って。

そしたら間もなく子どもはやめましたよ。
ちゃんと水道の蛇口を閉めて、びしょびしょになりながら入ってきて
「ああ、濡れちゃったねー。じゃあ取り替えようか」って取り替えたんですよ。

それでいいじゃないですか。
その時に私は、そういうやり方があるのを見つけたんです。

それはやりながら解っていくことであって、最初からお父さんお母さんに子どもへの対応方法がわかるわけじゃないんですね。

本当にそこは大事なところですが、それを考える上で元になる理論がちゃんとあります。私がなぜそういう判断になったかっていうのは、その理論、理屈があるからなんですね。

もう1つの例。

やっぱり一番上の子だったな。1歳7か月の頃ね。

トイレでカタカタ、カタカタ音がするんですね。

何をやってんだろと思って戸を開けたらね。
トイレットペーパーをタッタッタッタ、って落としているわけ。

もう楽しそうな顔してね。
こんなことが楽しいんだと思って。

それで、その時も私は止めなかったんです。
トイレットペーパー1ロールぐらい安いものだ、それも家庭教育。
この子の教材になるんなら安いじゃない、と思ったんです。

それでやらせました。
何でもやりたいことをやらせていいの、ってみんな思いませんか。

で、その後ね。
どうしたかって言ったら、やっぱり紙がもったいない。
そのまま捨てるのはもったいないから、子どもと一緒になって、1回分くらいのペーパーの長さに切って、それをたたんで箱にしまうって作業を一緒にやりました。

そしたら2回目はやりませんでしたね。
2回とはしなかった。1回だけしかやらなかった。

そういう風にやっぱり子どもはとにかく、1歳・2歳・3歳になる頃までは、本当にやりたい放題やりますから、ママは困ることいっぱいあるでしょ。
やってほしくないこと、いっぱいありますよね。

トイレットペーパーも本当はやってほしくないんだけど、大人から見れば。
でもそれは子どもがやりたい、おもしろいことを見つけたわけだから、それを尊重する。

ただ尊重しながらも、子どものやりたい放題じゃなくて、一緒に生活を共にしていく仲間ですからね。
子どもと一緒にどういう風にすればこの後の始末がちゃんとできるか考えて、片付けるとか、そういうことに切り替えていくことが大切ですね。

子どもは自分がやりたいことがやれたから嬉しいでしょ。
うれしくなると子供は意欲が出てくる、もっとやりたくなる。

ママは怒らなかったけれども、トイレットペーパーはちゃんと使えるようにしなくちゃって、大変な作業を一緒に行ったわけですから、これはあまりやっちゃいけないことなんだって、体で感じているわけですよね。
解っている。こんな1歳ぐらいの子どもでも。

だって、水使っていて私が出ていったら
「ママあっち」って言うってことは、やっちゃいけないと思っているから言ったわけでしょ。
そんな小さな子が判断できるんですよね。

私たちは、子どもは解らないと思って、
「そういうことをやったらこうなるでしょう、だからこうしなさい」
って言っちゃう。

でも、それがどれだけ子どもの能力をスポイルしているか、ってことを今日はお話したいんです。


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