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解法からの解放

今回は「解法からの解放」と、その周辺にある厳しい現実についてお話しします。

大学受験を一般入試で臨む受験生は日に日に焦りを感じているのかもしれません。焦りの原因は入試問題が解けないことにあります。入試問題が解けないのは解き方を知らないからだと考え解法を身につけなければと考えがちです。しかし、多くの場合、解法を身につけても問題が解けるようにはなりません。その前提となる基礎が身についていないからです。その基礎とは英語や国語でいえば読み書きの能力です。時に内容の理解に専念できる理解力、時に文法的な分析をしながら理解する力。日本語を読んで英語で表現できる力、簡潔で時に論理的な文章を展開する力。これらが入試問題を解く前提となる基礎です。その基礎のさらに基礎に当たるのが、文法や語彙の知識ということになります。

実際のところ、これだけの基礎が身についていなくても入試に合格することは可能です。50%程度の得点率で合格できる大学はいくらでもあります。しかし、これは読み書きという基礎学力の習得を先送りしているに過ぎません。大学に受かればいいじゃないかという意見もあるでしょう。しかしそれでは大学に受かるだけで終わってしまうのです。大学入試レベルの読み書きができなければ専門書を読みこなすことができません。レポートが書けません。資格試験の勉強にも読解力や論述力が要求されます。大学にも基礎学力をつけるための授業が開講されていますが、週に90分1コマ程度で、高校や予備校よりも時間的には圧倒的に不利です。しかも、基礎学力をすでに身につけている学生はどんどん先に勉強を進めていきます。これが就職活動を始める時点で小手先のテクニックではどうにもならない差を生じさせます。大学入学までに身につけておくべき学力は、やはり先延ばしにしないほうがよいのです。

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