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番外編:「スコットランドヤード」
今回は実体験を元にエッセイを書きたくなったので、番外編として投稿させていただきます。
イギリス版JR尼崎駅ことロンドンのハブステーションロンドンパディントン駅でのことである。
待合のベンチがたくさん並んでいるエリアで男が大声で叫んでいた。
私はロンドンという街には不似合いな炊き込みご飯弁当を頬張っていた。
私は赤い公園を爆音で聞きながら、Aマッソ加納愛子著の「イルカも泳ぐわい」を読んでいたので、そんなに大声は気にならなかったのだが、周りの空気がピリついたことで、その男が迷惑野郎として見られてるのだと察した。
それでも、こういうことは故郷では日常なので、気にならなかった。
程なくして、駅員の様な制服の人がぞろぞろ集まってきて、さらに空気がピリつく。私は「あー注意されんのやろなー。電話の声デカ過ぎたんかなー。エキサイトか。」と思いながら、眺めるというよりはよりドライに横目で視界に捉えていた。
と思ったらさらに人が集まってきて計6名の黒服男女が迷惑男を取り囲んでいた。黒服集団に女性が混ざっていたことも助けて、その様子をようやく嗅ぎつけた私は初めてその光景を眺めることにした。
よく見ると黒服集団の背中にはPOLICEと書いてある。噂に名高いスコットランドヤードレッドカードだった。
駅員イエローカードで、「はいはいやめますすいません。」
ぐらいで収まると思っていたら、思ったより多かった。
むしろ担架で運ぶんかぐらいの人数だった。
男はどうやら酒を飲み酔っていたらしい。酔っ払いに散見されるまだ酔ってへんわという強がりか見栄かわからない抗議も虚しく、男は退場となった。
ここで終わらないのがイギリス。現場近くにいた若い男女がなにやら楽しそうに話している。
男「アイツマジでうるさかったな?連れて行かれてやんの(笑)」
女「ホントよね!可哀想だけど、ちょっとスッキリしたわ。」
などと若い男女のPKが勝手に始まっていた。
スコットランドヤードさん。事件は終わってません。
それともベイカーストリートからヤツを呼びますか?
と考えていた私の考えを見透かす様に若い男女は仲良く自主退場した。
2人が何のつもりで駅にいたのかもはや分からないが、パブにでもしけ込むのだろう。
炊き込みご飯をこぼした私の前で鳩が羽ばたいた。
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