砂時計と緑茶の味。
11月9日。
朝から勤務だった。
午前便と午後便の搬送や、製剤入れ替えなど。
24時間勤務四連勤 最終日。
無事に終わる事を願う。
だが、21時前に電話が鳴る。
僕は、朝から搬送班だったので夕方からは電話・受注班に代わっていた。
(朝から心外オペだったので、その分か!?)
だが違った。
緊急外来の患者でRBCとFFP。
そして血小板が欲しいと。
オペではないのでしょうか?と聞けばそうではないらしい。
検査室の先生も慌てている感じだった。
だが患者はAB型だった。
今、AB型の血小板は全国でも少ない。
関西・兵庫だったら尚更だ。
こちらにもAB型の血小板は手持ちが無い。
神戸と連絡を取り合う。
中継で血小板を何とかいただける事に。
だが、神戸の用意の時間もある。
最低、日にちを跨ぐ計算。
そちらを先生にも理解していただく。
OKとの事。
搬送班に、まずRBCとFFPを持って行ってから中継に向かう事を指示する。
これで落ち着いてくれれば良いが・・・。
オペではないと言ってるし。
搬送班から「納品完了しました。中継向かいます」
「慌てんで良いから、無事故でお願いします」
搬送班は中継先に向かった。
すると電話が。
また違う患者さんで、RBCとFFPを使うのでいただきたいと。
搬送班は中継に行ってるので、中継完了後にそのまま職場に一度戻ってきてもらって、僕が梱包したRBCとFFPを持っていくようにする。
搬送班にも連絡。
了解!との事。
中継が終わり、職場に戻って、梱包した製剤も一緒に持って行ってくれた。
搬送班が帰ってきた。
雨が降ってるようだった。
「風も強いです」
お疲れ様。
搬送班は仮眠室へ。
僕は緊急体制なので起きている。
また電話が鳴った。
先程のAB型の患者の血小板数値がかなり低いので、もう10単位欲しいとの事。
すぐに神戸と連携。
本当に無い。
だけども渡してくれるとの事。
ありがたし。
搬送班を起こして、もう一度中継に向かってもらう。
夜中の三時前だ。
こういう事が当たり前のお仕事なのだ。
中継終わって、搬送に向かう。
「納品完了です!」
後輩の元気な声で安心する。
落ち着いてきたのが、早朝の五時過ぎだった。
僕は、それからもずっと起きていた。
緊急オペではなくても、RBC・FFP・PCは必要となるのだ。
そして365日。
24時間、職場は休みなく動いている。
朝、搬送班の後輩が起きてきてネットニュースを見ていたら「見てください!」と。
そういう事だったのか。
納得した。
後輩も警察が多かったと言ってた。
もう少しで任務交代の時間だが電話が来る。
先程のAB型の患者に血小板が欲しい。と。
またか!
かなり数値が低いんだ。
神戸に連絡。
本当に無いと。
上がりも本当に少ない。
だが、本日中ならお渡しするようにすると。
その旨を連絡。
それで良いとの事。
この患者さんは、正直 持ち堪えれるかどうからしい。
生きる為に、血小板を入れていくのだ。
受注計算。
書類などをPCに入力する。
上司や10日の勤務の方に引き継いで、終わった。
寝ていない。
帰ったら、ばたっと倒れた。
寝た。
仮眠だが夕方まで寝た。
起きて、妻がお仕事から帰ってくるのを待つ。
妻が帰ってきた。
腰痛がひどいとの事。
晩御飯を作って、一緒に食べた。
エレキバンを妻の腰に貼る。
これで治るのかわからないが、腰痛がマシになってくれればと願う。
明日は土曜日だが、休日出勤だと言う。
ムリするな休め!と言ったが「人が足りなくって」と妻。
生真面目だ。
責任感が強い。
そこが僕は好きなのだ。
女性は強い。
青木真也選手の生放送を聴く。
癒し。
だが、青木選手が言ってもいないのに「格闘技を辞める」と勘違いするリスナーさんがいた事で怒り爆発する。
青木選手が格闘技を辞めるもんか。
どれだけ格闘技が好きだと思ってるんだ。
だから、今の現状を嘆いているんだ。
三島由紀夫の金閣寺じゃないが、もう燃やしたい気持ちではなかろうか。
『格闘技』を。
そんな想いに耽る。
生放送が終わった後、疲れ過ぎていたので寝る事に。
今日はお休みです。
ぐっすり寝た。
やはり妻は、お仕事に向かっていた。
良い天気。
洗濯をする。
9日から昨日の朝までのドタバタを思い出す。
抗ってもムリな事もある。
だが、その為にも僕達が動いている事もある。
好きな事を仕事にって簡単な事じゃない。
皆が悩みながら、お仕事してるんだ。
僕は好きでやってるんじゃない。
『お仕事』だ。
だが、そのお仕事に誇り持ってる。
どんな仕事だってそうだ。
僕が、清掃員のバイトしてる時だって(皆が嫌だと思ってる事をする)って事が誇りだった。
意味ない仕事なんて無い。
嫌なら辞めれば良い。
簡単な事だ。
でも、辞められないと文句言うならやるしかない。
気持ち一つだ。
自分自身がやってる事に堂々としていれば良いんだ。
他人のモノサシより、自身のモノサシ。
またプロレス観戦したいなぁ。
青木真也選手の『プロレス』観たいなぁ。
その為に頑張ろう。
こんな時だからこそ思う。
人生は砂時計の様だ。
時間が経てば、ひっくり返しの繰り返し。
ひっくり返しができなくなったら、僕達はいなくなるのだろう。
この世には。
存在意義が無くなるのだろう。
妻がお仕事から帰ってきたら、妻の大好きなオムライスでも作ってあげようかな。
喜んでくれるだろうか。
何気ない日常。
働けば、そんな気持ちも消えていく。
没頭するのだから。
明日も24時間勤務だ。
緑茶を飲む。
パックで作っている簡易な緑茶だ。
美味しい。
本当に。
それでも時は進む。
最後の一粒でもムダじゃない。
意味がある。
だからこそ、僕は生きようと思ったのだ。
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