お母さん、ごめん
昨日、実家で飼っているポメラニアンのさくらを病院に連れて行った。
病院で薬をもらったが、可能であれば点滴や注射で対処できないものかと思った。薬をあげるのは朝と夕方の1日2回。一人暮らしで認知症の母がさくらに薬をあげるのはかなり難しいと思われた。
「薬をあげるのにも、慣れていただいたほうがいいですから」
お医者さんにそう言われ、わかりましたと言って帰ってきた。なんとかなるだろう、なんとかしなければ。
薬の与え方を母に説明し、丁寧に紙に書いておいたが、夕方、心配になって、もう一度実家に向かった。
母は、薬の与え方をまったく理解していなかった。何度説明しても母には理解できない。
「何回、同じこと言わせるの!」
思わず語気が強くなる。話が通じないもどかしさと、どうすればいいんだ?という焦りが僕を苛立たせた。
「もう一回、教えてくれる?」
そういう母に、言葉が出ない。
「お母さんには、無理だよ・・・」
そう言って、僕は溜息をつく。
「お願いです、ちゃんとできるから、もう一度教えてください・・・」
そう言って、母は泣いた。
独り寂しく暮らす母。
僕が小さい頃、家が貧乏で、共働きで必死に働いて、僕を大学まで出してくれた母。
そんな母に、僕はなぜ優しく接してあげれないのだろう。
なぜ、僕は母に悲しい思いをさせるのだろう。
僕は、最低の息子です。
お母さん、ごめんね。
ごめんなさい。
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