見出し画像

肩関節周囲炎



肩関節周囲炎

肩関節周囲炎は、「四十肩」「五十肩」「凍結肩」など色々な呼ばれ方をしています。整形外科外来では、よく治療対象となる疾患です。病態としては、その名の通り肩の関節の周囲で炎症が起きています。
どのような疾患なのかまとめます。

病態

まず、なぜこのような炎症が起きるかですが、実はイマイチはっきりとわかっていないそうです。

リスクファクターとして
・糖尿病
・甲状腺疾患
・血中脂質高値(コレステロールや中性脂肪です)
・デスクワーク
などが挙げられます。

リスクファクターなどを見ると、運動不足などももしかしたら関係しているのかもしれませんね。
好発年齢は40〜70歳が多いとされています。
海外では「Frozen shoulder」や「Adhesive capsulitis」と称されることが多いそうです。「固まる」とか「癒着する」など示してあるように、炎症に伴う痛みと、可動域制限が主な症状となります。

経過は?

経過ですが、いつも患者さんにお伝えするのは長期戦ということです。

肩関節周囲炎は、
・炎症期(freezing phase)
・拘縮期(frozen phase)
・寛解期(thawing phase)
の、3ステージに分かれます。

炎症期(freezing phase)

肩関節周囲炎の第一ステージです。
発症から2.5〜9ヶ月ほどかかります。
炎症の期間ですので、疼痛は著名です。
特徴的な症状として夜間痛が見られます。これは、特に動かしていないのに夜間に痛みが出てしまう症状です。睡眠が重要とされるこの時代に最悪の症状ですね…
この夜間痛もなぜ痛むかよくわかっていないそうです。

拘縮期(frozen phase)

第二ステージです。
発症から4〜12ヶ月です。
疼痛は炎症期に比べ、軽減していきます(最終可動域でみられる)。
Frozen phaseと呼ばれるように、可動域制限が主な症状へと変わって行きます。回旋運動には特に可動域制限がみられます。

寛解期(thawing phase)

最終ステージです。
発症から12〜42ヶ月です。
可動域制限が改善してくる時期です。


肩関節周囲炎に関して大雑把にまとめてみました。
期間が2~3年かかるのですね。かなり長期戦です。自分たちに求められているのは、この期間をいかに早く終わらせられるかだと思います。いかに早く炎症を抑えられるか、いかに早く可動域制限を改善できるか、いかに早く日常生活を再獲得するかですね。それが難しいのですが…

理学療法ガイドラインにも情報が載っています。

理学療法ガイドライン第2版. 第7章. 肩関節機能障害理学療法ガイドライン. 日本運動器理学療法学会. 2021.


ではでは。

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,232件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?