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公民連携「3つのモデル」と挑戦者のケーススタディ

これまで紹介させていただいた事例を含め

都市経営のなかで、公と民が連携する形は様々です。でもこれ!って正解があるわけでもない。

今回も公民連携の教科書から、これまで成功してきた公民連携の大枠モデルと、各エリアで今まさに挑戦されているケースをご紹介します。

基本となる3つのモデル

公民連携の教科書では、連携のカギとなる主体を、①プレイヤー型、②プロデュース型、③エージェント型の3つに分類しています。

下の図は書籍を参考に編集させていただきまして
具体例も交えて紹介していきます。

①プレイヤー型

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行政からのオーダーによって、自らが事業者となり公共施設などで自立型の経営を行う。
アーツ千代田3331」や沼津市の泊まれる公園「INN THE PARK」「東京おもちゃ美術館」などが該当します。

《参考》
・行政予算ゼロを実現する「東京おもちゃ美術館」のポテンシャル

②プロデュース型

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強いコンテンツとなる民間プレイヤーを束ねて、まちの価値を高めるベクトルへプロデュースしていく役割を担う。
水都大阪」や「定期マーケットのまちづくり」が挙げられるかと。

《参考》
水辺が復活した「水都大阪」に学ぶ理想を現実にするチカラ
衰退からの脱却!「まちの期待値」を高める5つのポイント

③エージェント型

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行政の代理人となり、優れた事業計画の提案や資金調達、民間を束ねた運営を行うなど、幅広い役割を担う。
紫波町のオガールプロジェクト」「北条まちづくりプロジェクト」「盛岡バスセンタープロジェクト」など。近年になり事例が増えてきました。

《参考》
都市経営を成功に導く「PPPエージェント」の正体

モデルから見えること

これは個人的な印象ですが

・プレイヤー型は、具体的な対象物件がある場合
・プロデュース型は、ある程度のエリアを設定して変革を起こしていく場合
・エージェント型は、不確定要素の多い広域エリアを総合的に再生する場合

といった場合に適用されていることが多いと思われます。
ただ、厳密に分かれるわけではなく、リノベーションまちづくりなどは、プレイヤー型とプロデュース型の複合タイプとも言えるかと思います。

それでは都市経営プロフェッショナルスクールの卒業生が、具体的にどんなチャレンジをされているのか、ご紹介できればと。

ケーススタディ(1) 自らがプレイヤーとなり街をつくる

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新潟県 柏崎市 八幡開発株式会社さんの取組。(写真はHPより)

なんと自身の店舗前にあった駐車場をなくし、芝生広場に変えちゃいます。(写真参考)
その広場でマルシェを開催するなど、まちに公共空間をひらくチャレンジをされています。
さらにパン屋さんも店舗に併設されました。(写真左)

特徴的なのは、店内でパン屋さんと不動産事務所が繋がっていて、店内を行き来できること。
さらにパン屋の店員を不動産のスタッフが行っていること。

2つのお店の壁をなくすことで顧客を共有し、不動産スタッフは日々買物に来られるお客さんとの会話からマーケティングに繋げるという効果も狙っているんですね。とっても面白いです!

成功や失敗もありながら、現在は旧サッシ工場を「7店舗の商業施設と芝生広場」にリノベーションするプロジェクトが進行中!
こちらは公民連携「プレイヤー型」…というより、地元資本の民間の力で、まちを変えていくパターンですね。

ケーススタディ(2) オガールを超えるPPPとなるか

北条まちづくり

大阪府 大東市さんの取組。(パースは大東市HPより抜粋)

行政は各組織が、役割に基づいて事業が構成されるので、単一目的で縦割りな事業になりがち。
そのため、民間のスピードに合わせた庁内調整や規制緩和など、民間主導のまちづくりに本来必要な支援ができていないこと、多いです。

大東市さんはそんな組織の壁を突破するため
公民連携に関する条例、計画、指針を定める
部署を横断する公民連携推進室を創設
民間主導のまちづくりを、市をあげて実践する覚悟を決めました。
議会や市民の皆さんから、理解を得る努力がどれほどのものか…本当に凄いこと。

さらに、「coomin 大東市公民連携まちづくり事業株式会社」をつくり、ズンチャッチャ夜市、健康プロスクール、北条まちづくりプロジェクトをはじめ、など様々な公民連携事業を展開中です。

ちなみに北条まちづくりプロジェクトのひとつ、「morinekiプロジェクト」では、
PPPを用いて公園、商業施設、民間賃貸住宅(当初は借り上げ公営住宅)の一体的な整備を予定しています。

「自分でつくったまちに住む」morinekiプロジェクト

人口減少社会に併せて、公営住宅を民間から借り上げ、ゆくゆく民間賃貸住宅へ移行させていく予定とのこと。
まちの価値を高めつつ、将来的に行政コストを下げることをデザインされています。

オガールは、何もなかった土地に新しく施設を建てる新築型。一方で大東市は、すでにある建物を建て替える再開発型。

再開発では対象エリアの、用途変更や既存住民に対する説明など、オガールプロジェクトとは違うアプローチが求められています。

そうした意味で、オガールとは違うハードルを超えていかなければならない。今後も注目の「エージェント型」公民連携事業です!

考察

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こうしたスクールOBの皆さんの新たな挑戦によって、民間主導のまちづくりはモデルケースが蓄積されつつあります。

これから挑戦する私たちにとって、
未来の選択肢を見せてくれていることは、とても幸せなこと。

でも全国で実践されている公民連携はまだまだ玉石混交。だからこそ
自身が進めるプロジェクトの形から、参考になるモデルを徹底的に研究することが重要だと思います。

モデルケースを見て、実践者の話を聞いて、小さくても地元で実践していくと、初めて自分の暮らすまちの都市経営が立体的に見えてくると感じています。

先輩方に追いつき、追い越せ。というよりは仲間として成功も失敗もシェアしながら、ワクワクするまちへ向けて頑張っていきたいです。

本日もありがとうございました!


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