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「崩壊してしまった、膝関節」

はじめまして。上井一輝(うわいかずき)です。

これから膝軟骨損傷のリハビリを行うにあたって、noteをはじめることにしました。拙いですが、リハビリ内容やその時々の思い、私自身の事など綴っていこうと思います。

現在、私は、株式会社メルカリに障害者アスリートとして雇っていただいています。

競技種目は、聴覚障害者のフットサルです。2019年2月に開催された聴覚障害者フットサルW杯アジア予選へ日本代表として出場し、2位という結果を得て、2019年11月に開催されるW杯本戦の切符を手に入れました。

チームが、前回W杯準優勝のタイを破り、躍進を遂げていく一方で、私は自分自身の左膝と格闘を続けておりました。

昨年、左膝の軟骨を損傷し、初めは血を40cc抜き、再負傷時は水を45cc、そこからリハビリ過程で何度もリバウンドを繰り返す悪戦苦闘の毎日でした。

発端は、昨年6月、膝にぐちゃぐちゃな痛覚を感じ、練習を中断しました。以前から膝に痛みはありましたが、比べることが出来ないほどに痛覚が強くなっていました。翌朝、体を起こそうとすると、膝に非常に強いぐちゃぐちゃしている痛覚があり、動くのもままならない状態でした。

この状態は、血を抜くことである程度改善され、リハビリを重ねる毎に向上していきました。ただ、膝に違和感は残り続けていました。

8月に数試合重ねた後、膝の張りと違和感が強くなったにも関わらず、9月頭の試合にも出場しました。翌日、最初に感じたものと同様な痛みが襲ってきました。

幸いにも出血はなく水だけだったのですが、ここから階段の昇降の痛みが和らぐのに3ヶ月かかりました。

そして、W杯アジア予選に合わせたリハビリやヒアルロン酸の継続注射を行ない、大会へ臨みましたが、通常練習ですらフル消化は難しく、試合もスポットで起用していただくという形でした。

W杯アジア予選期間中、日を重ねるにつれ、左膝の状況は悪化していき、現地でも水を抜きました。しかし、痛みはとれず、増していくばかりで、痛み止めで誤魔化しながら、決勝戦を迎えることになりました。

当日、監督は私をスターティングメンバーに選んでくださり、それに絶対に応えようと、アップから強度を上げ、集中力を最高潮まで高めようとした時でした。

私の意気込みとは相反し、膝は限界に達してしまいました。今まで騙し騙しやってきたツケが一斉に回ってきたのです。

歩くだけで、膝を動かすだけで、関節内の骨が「ゴリッ、ゴリッ」とぶつかる感覚があり、歩行困難な痛覚が伴う様になってしまいました。

ロッカールームへ戻る際に、不本意かつ苦渋の決断でしたが、トレーナーと監督に、膝の状態とともにもうプレイはできないと伝えました。

「2015年から人生の全てを懸けて取り組んできた結果がこのざまか。」

と、自分自身に大いに失望しました。安定した職を捨て、W杯で優勝する為だけに、生きてきました。たった、4年間ですが、自分なりに闘ってきた自負がありました。膝を受傷してからも、毎日毎日、目標を見据え、治療やリハビリを積み重ね、自分自身と闘ってきました。

その結末がこれかと。

本当に言い表すことのできない感情が自分を包んでいました。

そこからは、ほとんど記憶にありません。

気がついたら、試合が終わり、表彰式でした。

みんなに助けてもらい、メダルの授与だけは参加しましたが、他は少し離れたところで椅子に座って眺めていました。

全く、何も考えられませんでした。ただただ、呆然と眺めているだけ。手元に、首から外した銀メダルの重さを感じるだけでした。

もう、この膝ではフットサルはできないだろうと。ここまでにしよう。自分から一線を退こうと考え、失意の中、W杯アジア予選は終了しました。

表彰式終了後、私はトレーナーと一足先に宿舎に戻り、治療を施していただきました。その際に、帰国後の対応についても話し合っておりましたが、私の中には全く入ってきておりませんでした。

帰国後も、とりあえず連絡をし、言われるがままに大阪の病院へ行くことになりました。

道中も、もう続けることができないということからくる焦燥感でいっぱいでした。自分は何をやってきたんだろうかと。

これからどうしようととも考えました。どうやって生きていこうかと。ボールを蹴ることが出来ない。運動ができない中で生きていくことが出来るのかと。仮にそれが出来てもW杯優勝を目指さない人生に価値があるのか?そして、その人生を生きて行く必要があるのか?とも思いました。

現実を受け入れることが出来ず、未来について何も考えられなくなってしまっていました。W杯優勝の為だけに生きてきたので、この反動は、本当に大きかったです。

こういった思いが循環し、どん底を感じていた私ですが、この大阪の病院への通院を転機に、気持ちが変わっていくことになります。



最後まで読んだいただき、ありがとうございます!