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2024年度 大阪大学大学院 情報科学研究科 外部院試体験記

2024年度 大阪大学大学院 情報科学研究科 情報システム工学専攻 入学試験に合格しました。

受験期に、数々の合格体験記にお世話になったため、私も書いてみようと思います。同大学院を受験する予定がある方の参考になれば幸いです。

※情報基礎数学専攻・情報数理学専攻・バイオ情報工学専攻の内容とは異なりますので、ご注意ください。


プロフィール

私はとある私立大学の理工学部で情報科学を専攻しています。大学院への進学理由は、学部卒で開発・研究職に就くのは困難だと考え、今後の就職活動を有利に進めようと思ったためです。外部の院を受験をした理由は、国公立大学院の学費が私立と比較して安価だからです。

入試概要

筆記試験・面接・TOEIC・研究希望調書などの内容を総合して判断されます。

筆記試験

筆記試験は、必修2科目・選択5科目(2科目選択)の計7科目からなります。科目は以下の通りです。

【必修科目】
・アルゴリズムとプログラミング
・計算機システムとシステムプログラム

【選択科目(2科目選択)】
・離散構造
・計算理論
・電子回路と論理設計
・ネットワーク
・数値解析と信号処理

私は離散構造と計算理論を選択しました。離散構造・計算理論・電子回路が比較的解きやすいようです。

面接

2~3分で終わります。前日の筆記試験の出来具合など軽い質問に答えます。前日に面接のマナーを見直しておくだけで十分だと思います。

TOEIC

最低600点以上が望ましいです。私は、3年の12月に取得した735点で提出しました。出願時に提出するものですが、筆記試験の時に再提出することも可能です。

研究希望調書

大学での研究内容や、大学院進学後の研究内容についてまとめます。Word形式で2ページ分のフォーマットが用意されており、手書きまたはWordで記述します。
出願の1か月前には書き始めたほうが良いかと思われます(私の場合は出願1週間前に書き始めてゼミの先生にひどく叱られました)。

また、仮に試験に合格した場合でも、研究希望調書の書き方によっては、志望研究室ではなく他の研究室に配属される可能性もあるようです。

過去問

過去問と解答は、研究室訪問の際に院生から頂くのが基本的な入手法になります。一応、公式ホームページにも問題のみですが7年分用意されています(公式HP)。

外部の学生は必ず解答も手に入れておきましょう。私は4科目中1科目だけ解答がなかったのですが、その科目は全く勉強ができませんでした。

試験勉強

3年の10月頃に過去問を入手して、11月頃に専門科目の勉強を始めました。それまでは主にTOEICの勉強をしていました。

学部の授業で得た知識が多少活用できたため、どの科目もまずは過去問を解いてみるという勉強方法が主体でした。計算理論だけは授業がなかったため、教科書を一通り読んでから過去問を解き始めました。

アルゴリズムとプログラミング

C言語で記述されたアルゴリズムを読んで設問を解く形式です。プログラミングは多少できたので、多種のアルゴリズム・計算量・計算量の証明方法などを暗記していました。

アルゴリズム図鑑というスマホアプリがあり、暇な時間はこれを眺めていました。視覚的に理解できるのでオススメです。

計算機システムとシステムプログラム

コンピュータの仕組みに関する問題です。これはほぼ過去問を解く勉強しかしておらず、解法暗記で乗り切りました。解答を見ても理解できないところは学校の先生方やChatGPTに質問したり、Web検索するなどで対応しました。

離散構造

離散数学の問題です。以前は情報論理学の分野が頻出でしたが、最近はグラフ理論の問題が多いようです。過去問の解答が無く、十分に勉強ができませんでした。情報論理学の分野は全く理解できず、グラフ理論の勉強しかしませんでした。

計算理論

知識が皆無だったので、この科目は教科書を一通り読み終えてから過去問に取り組みました(使用した教科書↓↓)。

過去問の内容はこの本がほぼすべて網羅しているので、この本を読めば大体解けるようになります。

筆記試験の自己評価

アルゴリズムとプログラミング

挿入ソートと2分探索の問題でした。バブルソート・挿入ソート・選択ソートの問題は比較的簡単なので、解きやすかったです。最後の2問は難しくて解けませんでしたが、それ以外は概ね解けました。

自己採点では85/125点でした。

計算機システムとシステムプログラム

主に、仮想記憶のページングやページ置き換えなどに関する問題でした。ページ置き換えは過去問で頻出だったため、大体解けました。

Beladyの異常という聞いたことのない語句が出てきて焦りましたが、問題文から推測して解くことができました。また最後の問題で、理論上最高率のページ置き換えアルゴリズム(OPTアルゴリズム)が出てきて、勉強した記憶はあったのですが、忘れてしまって解けませんでした。

自己採点では80/125点でした。

離散構造

ほぼノー勉状態でしたが、運よくグラフ理論の問題だけが出題されたため、多少点数稼ぎができました。

後半の問題は証明問題が多く解けませんでしたが、前半の問題は簡単で配点も高かったため、思っていた以上に点数を稼ぐことが出来ました。

自己採点では70/125点でした。

計算理論

内容としては、CYKアルゴリズムが主体で、構文木に関する証明問題も出題されました。オートマトンや正則言語からは出題されず、すべて文脈自由文法(チョムスキー標準形)の問題でした。

証明問題も解き切ることが出来て、最も自信のあった科目でした。しかし、面接の際にご指摘を受けて、4科目中最も得点の低い科目になりました。

自己採点では95/125点でしたが、面接後に55/125点に下がりました。

合計得点

4科目で290点、58%ほどの得点でした。自己採点では6割を越えていたため希望があったのですが、計算理論での失点で自信がなくなってしまいました。

面接

まずは会場へ案内され、そこから面接室へ5人ずつ案内されます。

面接室は通常の講義室のような場所で、教壇側に受験生の席、向かいに先生が4~5人ほど座っていました。受験生用の机には前日の筆記試験の問題が置かれていました

面接でのやり取りは以下の通りです。

先生「筆記試験で一番出来た科目と、出来なかった科目を教えてください。」

私 「一番出来た科目は計算理論で、出来なかった科目は離散構造です。」

先生「なるほど。でも点数で見ると離散構造のほうが上のようですが…。難しかったですか?」

私 「(!?)。…はい、後半は証明問題が多く、あまり解くことが出来ませんでした。」

先生「そうですか。うーん、英語は結構取れているみたいですね。」

私 「ありがとうございます。」

先生「では、志望動機を教えてください。」

私 「はい。○○先生の研究室を志望した理由は、○○先生の研究室へ訪問させていただいた際に、○○先生への研究への熱意に惹かれ、この研究室に配属していただくことが出来たら、私はさらに成長できると考えたからです。」

先生「研究内容よりは熱意…ですかね?」

私 「いえ、もちろん研究内容に関心があるという前提です。」

先生「そうですか。では、他に受験する大学院はありますか?」

私 「いえ、ありません。」

先生「そうですか、わかりました。それではこれで面接を終わります。ありがとうございました。」

私 「ありがとうございました。失礼しました。」

面接後は誰とも会話をすることなく、自宅へ帰りました。帰宅中、計算理論の点数が低いことが分かり絶望していました。2024年度は情報科学研究科の受験者数が急激に上昇していたこともあり、半分諦めかけていました。

合格発表

何とか合格していました。第一志望の研究室の配属が決まりました。

おわりに

以上が私の合格体験記になります。最後までこの記事を読んで頂き、ありがとうございました。

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