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2020年の状況を受けて、体験型の現代アート制作はどう変わったのか

なかなか落ち着かないですね。
2020年2月にブラジルから帰国して以来、展覧会の予定が3つとも延期、2つはまだ開催されてないみたいな状態になりました(だいたい2か月~1年近い延期になった)。

本当のところ、7月からイタリアのアーティスト・イン・レジデンスに参加する予定ではあったんですが、延期になった東京の展覧会の1つが9月予定のために、そちらの参加も延期。いろんなものが全部後ろ倒しになっているところです。まぁしかたないね。

ですが、一番自分にとって大きい影響は「体験型アート作品」の制作がしばらくほとんどできなくなるだろうな、というところです。

私は主に、体験型のインスタレーションをつくってきた作家なんですね。

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作品の中に入れるやつです。

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これは、見に来た人が作品の好きな場所を切ってよかったやつ。

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こちらは垂れ下がってるヒモを結んだりしてよかったやつ。2週間くらいの展示の間、来る人が増えるたびに作品の形がちょっとずつ変わっていきます。

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こちらも結ぶとか、自由に遊んでよいですって感じにしてたんですが、韓国で展示してたら紙に「願い事」を書く人がいました。

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こちらは盗んでよかったやつ。日本で最近、盗んでいい作品展が有名になっていましたね。この展示はフィンランド北部で行ったんですが、「盗んでいい」って書いてあっても「持って帰っていいの?」って聞いてくる人や(=盗むという犯罪をしたくないので許可を取りたい心理)、「盗むなんてことしないわ」という拒否を示す人もいました。

盗んでOKっていうのは、行為としては「持ち帰り可」と同じことなんですが、「盗む」っていう言葉がつけられると同じ行為でも別の意味になってしまうんだなぁというのが興味深かったです。

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こちらはお菓子を使って好きな効能の薬をつくる、というもの。

・・・こんな感じなんですが、どれも見に来る人が「触ってごにょごにょ」してOKだったんですね。

見に来る人が創作に加わり、作品の形が定まらないもの、誰かの存在を作品を通じて実感できるようなものをつくりたかったんです。

でも、たぶんしばらくはこの方向での制作発表は難しいです。作品を完全に消毒するとかが難しいからですね。感染症対策として負荷がかからない体験型作品の企画とかも考えていますが、なかなかリスクもあるので、けっこう落ち着かないとできないなぁと思っています。

最近、特に物語側に力を入れているのはそういう事情がありました。

もともと、現代アートの作品を一般に分かりやすくするために丁寧に伝えるとしたら、「物語に乗せる」しかなさそうだなぁというのは感じていました。

それだけ、現代アート作品に含まれる内容っていうのは複雑だからですね。作品自体がかなり抽象化されているので、受け取り手にとってはかなり負担がかかるエンタメなんです。作品の主題みたいなのがまったく知識がないととらえきれないからですね。

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それが現代アートを「専門的」にしすぎ、一般の人を遠ざけてしまう原因にもなってしまってないかなーと思ったのです。

私自身、今は現代アートがとても好きですが、昔は意味がわからなすぎて大きらいだったんです。現代アートを自主的に勉強した人しか分からない・そういう人しか受け入れないのって不親切すぎるよなぁって。

でも、今は自分もつくる側なので、1つの作品をバラバラに紐解いて解説するとしたら、誰かの人生みたいに壮大なストーリーにならないと伝わり切らないんじゃないかと思ってもいるんです。

それだけの複雑さが一つの物体に含まれているところがおもしろさでもあるんですが。

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私はその「解説」部分を「体験」に置き換え、体験という刺激を介して伝えようと試みてきました。頭で理解するより、創作行為に参加してもらいながら実感によって伝えるみたいな感じでこれまでやってきたんです。

ただ、それが厳しくなってきたので、ストーリーによって「疑似体験させる」という方向でやれないかというのを考えています。

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ちょうど数年前からストーリーは準備していて、長編小説も書きあげられたので、今はその話をマンガ化すべくちょっとずつ作業を進めていることと、次のお話の構成を考えたりしています。

物語の中に大型のインスタレーションも登場させ、現実世界が落ち着いた時にそれを今度は現実に落とし込むみたいなことがやれたらいいなと考えていますが、まずは今、目の前でやれることをがんばっているところです。

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