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貴方の為だけに「約束」「ハートの女王」


「約束」


「ねぇ……もしも、私しに申し分け無いと思うならば、真っ赤な薔薇を買って来て下さい」

そう言えるだけで、私しは貴方を赦しましょう。
伝えられる貴方が居て下さるだけで赦しましょう。

出掛ける予定の貴方に思う。

……置いて行かないで
今日だけは……
独りに成りたく無いの……今日……だけは

泣いて無言で獅み付く私しに、

「不安ですか?……不安……ですね」

と、貴方は言って
私しの病が消えるまで
時計を一瞥する事も無く
ずっと離れずに抱き締めて下さる

「如何して私しは貴方の事を考えても分からないのに、貴方は私しが何も言っていないのに、欲しい言葉を欲しい時にくれるのですか?」

そう聞くと貴方は、
「そうですか?……出来ているのなら、良かったと思います」
と、優しい微笑みで見下ろすだけ。

優しい……優しい……太陽の様に。

「やっぱり、私しの世界一の紳士だわ」
そう言って、涙も乾いて行った。

「私し……他の女の子みたいに、可愛気のある事、一つも言えません」
「でも可愛い」
「私し……可愛い格好も殆ど……」
「でも可愛い」
「でも……強がりばかりで……」
「知っているよ。可愛い仔が強がりを言っているのが可愛いじゃないか」

貴方は何でも……全部、世の中の物を「可愛い」で済ませる天才なのだわ。
こんなにも、私しを可愛い可愛いと、毎日毎日飽きずに言える、貴方が好きよ。
誰からの「可愛い」も、本気に思えなかったのに。
貴方の「可愛い」は、何処か特別……。

……だから、

「離さないで……」

「離しません。こんなに可愛いのに」

寂しくなったなんて
口が裂けても言わないわ

置いて行かないでなんて
惨めな事を言う女にさせないで

だから……真っ赤な薔薇を
貴方が下さった笑顔で待っております

一輪で構いません
貴方のその一筋な心を私しに下さい

上部だって他に可愛い等と言っては駄目よ
私しがどんなに上部繕いしたとしてもよ

全部全部約束して
もっと沢山……約束を頂戴

貴方と積み重ねる日々を
もっと沢山の薔薇で埋め尽くしましょう

束縛と違うのよ
貪欲なのよ、私し

だから貴方からも約束が欲しいわ
一生掛けても果たせない程の
無数の薔薇に埋もれませう

「貴方が好きよ……
だから死ぬ迄離さないで。
死んでから次に行ってね」

「構わないよ。こんな可愛い仔離せる訳がない」

ずっと、此の儘でいたいの。

貴方といる世界は……私しの夢。

書けなかったのよ。さっきまで。
なのに貴方を思えば此の手すら軽いわ。

きっと貴方が震える私しの両手を包んだから
貴方が心をも包んだから

私しは貴方の為の華で在ります

貴方の事を……此の幸せを刻めるならば
手を血に染めてでも
誰よりも強い……貴方だけの華に成ります。

余所見……もう、しないわ。
万人なんて私しが切り捨てますわ。
私しは貴方の為だけの私しに戻ります。

好きになさって。
貴方の物だもの。
貴方の書で貴方の私しよ。

次が欲しいのならば
上手におねだりして下さいませ。

貴方が薔薇を持って帰ったなら
私し、貴方の大好きな
甘い甘いケーキを焼いて上げるわ

其れ迄私し、また強がりをしなきゃ
今度は中途半端な強がりは止めよ

貴方との愛は……
こんな物に負けはしないわ
この世の誰にも……
私し、負ける気がしないの

貴方……最後の約束よ……
私しが尽きる時
私しの筆が貴方を書けなくなった時…

ただただ何時もの様に
お疲れ様と
優しく……強く……抱き締めて下さい

行って来るわね……
最愛の……薔薇………。

ーーー

「ハートの女王」

そうだわ。
貴方、私が薔薇は書く情熱だと言いましたけどね
勝手に私しが決めたのだから
貴方が知らなくて当然なのに
私しときたら…怒ってしまって御免なさいね

ハートはね
殿方が姫君に贈る物なの
此の心臓……命を君に捧げると言う由来もあるの
薔薇の花弁はまるでハートの様でしょう?

だから求婚に用いられる事が多いのよ

けれど私しが捧げたのは貴方に
其の結晶や色んな方々から頂いた愛情で更に出来て行くのよ

たった一本に
こんなにも沢山の愛が揺らいでいる物が
この世の他に何が在ると思う

貴方が読む為ならば、道化にでも異質な物だと呼ばれようが構わないわ

貴方がもう書かなくて良いと言うまで
貴方だけは読んで下さる

それは揺るがない自信で
この上無い幸福です

貴方が下さる幸福は私しは一日たりとも忘れません
例えば書けなくなっても
私は此の心臓を捧げられたのだと笑います

辛い日もあるわ
それでも貴方がいる……

横柄なハートの女王は
本当は泣き虫なの

「削除しておしまい!」

そんな事を言って、消して白紙にし、また書いたりの迷路に迷い込むの
本当は思ってなんかいないのよ
ナイトが横にいてさえくれれば

だって
首を掻き切るのは私しだわ

だから愛しいナイト……
私を助けに来て頂戴

私しの心臓が……粉々に……砕け落ちる前に
美しいまま……散りたいの

貴方を愛しているから
貴方が助けに来なきゃ
意味が無いの

貴方の為だけに散りゆくならば
私し……それでも幸せだっと笑います

ーーー

お賽銭箱と言う名の実は骸骨の手が出てくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か当てになる。若しくは珈琲代。 なんてなぁ〜要らないよ。大事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に…てな。 如何してもなら、薔薇買って写メって皆で癒されるかな。