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男子新体操に関する記事

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#国士舘

国士舘大学 新潟演技発表会 2024

国士舘大学 新潟演技発表会 2024

外では冷たい雨が降る中、鳥屋野体育館の中は若いエネルギーと観客の歓声であふれていた。毎年、山田小太郎監督が「この演技会に初めて来たという方いますか?」と観客に尋ねるのだが、初めての人とリピーターが半々くらい。つまり、試合会場と違って「男子新体操ってなに?」という感じの方も相当数おられると推察する。にもかかわらず、演技会終了後は皆さん、ニコニコしながら「よかったね〜」「最高でした!」「すごかった」と

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織田一明(おだ かずあ) 国士舘大学4年

織田一明(おだ かずあ) 国士舘大学4年

よくぞ、これほど魅力的な個人選手に成長してくれた…と、関係者でもなんでもない私が言うのは実におこがましい。おこがましいのだが、どうしてもそう言いたくなる理由がある。

なんと彼は、大学に入るときは団体か個人かで迷っていた。いやむしろ、団体の線を熱望されていたと言ってもいい。しかし彼は個人を選んだ。国士舘大学での4年間で、比類なき華やかさと美しさを持つ選手に成長し、印象的な作品群を残して、彼は次のス

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吉留大雅(よしどめ たいが) 国士舘大学4年

吉留大雅(よしどめ たいが) 国士舘大学4年

最高峰の試合であるジャパン(全日本新体操選手権)に出場するためには、全日本インカレで18位以内に入る必要がある。男子新体操にプロはない。大学4年生が、実質的には「ラストイヤー」なのである。

吉留大雅選手は4年生の今年、全カレで19位だった。
悔しかった。
初めて、親の前で泣いた。
「母にも悔しい思いをさせてしまったことが、申し訳なくて涙が止まりませんでした」

涙する息子に対し、母は「まだクラ選

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国士舘大学 全日本インカレ前練習 (2022年6月)

国士舘大学 全日本インカレ前練習 (2022年6月)

真夏のように暑い6月の土曜日、国士舘大学多摩キャンパスにある新体操部の練習場を訪問した。

団体団体メンバーは、全カレの演技を細かく分け、秒単位で繰り返していた。この時期、よく見られる光景である。だがそこには、例年と違う風景があった。山田小太郎監督が、自ら動きながら選手に手本を示していたのだ。

その動きの美しいことといったら。
選手は監督を真似て動こうとするが、なかなか同じ形にならない。

今ま

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田中 啓介(たなか けいすけ) 国士舘大学4年

田中 啓介(たなか けいすけ) 国士舘大学4年

大学1年 ルーキー時代4年間でこれほど印象が変わった選手もいない。

初めて国士舘大学でインタビューしたのは彼がまだ1年生の頃だったが、その時の第一印象は、「笑わないストイックな選手」。取材されることが好きではないのだろう、と思ったものだ(今思うと、ただ真剣なだけだったのだと思う)。そんな彼の練習の邪魔をしないようにと遠慮しつつ、それでも視界に入ってくる頻度が高い彼をカメラ越しに追った。

彼はま

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4年生たち

4年生たち

(この記事は、2018年11月に書いたものを転載したものです)

今の大学4年生が1年生だった時、私の試合観戦歴が始まった。だから、彼らに対する思いには特別なものがある。そんな彼らが今日の演技会をもって新体操人生に一区切りをつけると聞いた時、ああそうか、もう彼らが国士舘大学の部員として新体操する姿はこれが最後なんだなと、感慨深いものがあった。

彼ら4年生たちの思い出を交えて、今日の国士舘大学演技

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石川裕平(いしかわ・ゆうへい) 国士舘大学

石川裕平(いしかわ・ゆうへい) 国士舘大学

国士舘ジュニア第一期生。国士舘高校、国士舘大学と進み、黄金世代と呼ばれた。しかし彼は、大学4年の夏を迎える前に引退を決意した。

一枚の写真が語りかけた私が石川裕平という選手のことを知ったのは、彼が高校生の時だった。スティックのラストポーズを写した一枚の写真。それを見て、「うわぁ、高校生にこんな選手がいるのか」と衝撃を受けた。大学生でさえ、こんな表情をつけて踊ることは難しいのではないかと思うような

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あの時、僕たちは。②国士舘大学

あの時、僕たちは。②国士舘大学

国士舘大学新体操部の練習場所は、東京都多摩市にある。緑が多く、のどかな土地柄であるが、コロナ禍は容赦なく部員たちを直撃した。

あの時、新潟演技会が中止になって2020年3月。部員たちは、新潟演技会に向けて練習を積んでいた。この演技会では団体、個人、集団演技、長縄がいっぺんに見られるとあって、毎年大人気を博しており、今年はチケットも即日完売していた。個人の新作演技が披露される「年度のスタート」的な

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引く?寄る?…that is the question.

引く?寄る?…that is the question.

昨日、坂出演技会の動画を公開しましたが、その動画を見た視聴者の方から、「何年か前までは、こういう近い映像って殆ど無かったんですよね。低い位置からの近い映像を見ると迫力が違います。」というコメントをいただきました。

そう言われてみると、そうです。記憶を探ってみると、「試合映像」でクローズアップのものは、ほぼ存在しないといっても過言ではないでしょう。例外的に、テレビ出演や演技会・エキシビションの「寄

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川東拓斗(かわひがし たくと) 国士舘大学

川東拓斗(かわひがし たくと) 国士舘大学

全日本新体操選手権、通称ジャパン。

ちょうど1年前にあたる去年のジャパンのあと、川東選手にインタビューさせてもらった。

「福永先輩も自分も落下なしで4種目まとめたんですけど…勝てなかった…」

そう、絞り出すように言った彼の表情が、強く印象に残っている。しかし彼はまた、こうも言った。

「来年は福永先輩よりももっとすごい勝ち方で、勝ちます」

1年上の、尊敬する先輩である福永将司よりも、もっと

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