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誰かの願いで生きている

「大豆田とわ子と三人の元夫」

第七話の放送が終わった。今週もサイコーだった。


いつも母と二人で見ているけど、唄が家を出たことについて、母は
「これってとわ子が寂しい思いをしてる今、出て行かなくちゃいけないのかな?
いま急いで自立しないといけないのかな?
そもそもおじいちゃんの家に住むのって自立って言えるのかな?」と言っていた。
慎森のたましい乗り移ってない?大丈夫?

SNSでも同じくリアルタイムで見ている友人がいる。住む場所が違っても同じ時間に同じものを見て感想を言い合える、この時代に生まれて良かった。


第六話ではかごめとの別れにスポットを当てた感想を書いた。
第七話を見てとにかく思ったことは、
「1年経った世界でもかごめの存在が生きていて良かった」ということ。
どんな形であれ、あっさり消えちゃわないでよかった。

でもその前に、今回は慎森についても書きたいので まずはそこから。



「死んだお魚のお寿司」という慎森節が炸裂していた最高の最高ワード。

食い気味にいつもの調子で「お礼って要る?」って言った後、お寿司に醤油をつけようとして醤油皿にネタを落としたとわ子には何も言わない。それどころか微笑んじゃってる。

愛おしい。話数を重ねるごとに慎森のことが好きになっていく...じわじわと沁みていく好き。岡田将生さんのお芝居をまともに見たのは初めてだったけど、視線と表情筋の使い方が凄い。理屈っぽくて捻くれているのに甘さがあって、好意がだだ漏れ。臆病で可愛くて、憎めない。

「雑談は要らない、お土産も要らない。
だけど、好きな人との雑談は楽しいし、好きな人にお土産を貰うのも嬉しい。」
「自分らしくて好きな人に好きって言えないなら、自分らしくなくても好きな人に好きって言いたい。
そうやって続けていけば それも僕らしくなっていくと思うし。」

慎森は小谷翼さんとの別れを経て、かなり内面が変化したのかな。
そうだよね、“言えたことだけが気持ち”だもんね。
作中で一番変わったのは慎森かもしれない。
今の慎森だったら、人を幸せにする機能、前よりもっと備わってると思うんだよね。



かごめが居なくなって、作中一番分かりやすかったとわ子の変化、周りの人間の健康を心配する描写。

「元気で居てほしい。ちゃんと睡眠とってほしい。野菜食べてほしい。」

究極愛ってそこだよな、だいじってことはそこに帰結する。
元気でいるのを願われることはとっても幸せなことだけど、どこに居ても何をしてても元気で居てくれれば良いなんて、紙一重で無責任だとも私は思う。

とわ子って、ずっと皆のお母さんみたいだなって思ってて(私の年齢が娘の唄の方に近いせいもあるかも)、相手に対して「こうあって欲しい」というのがとわ子には無いような。居たいままで居させてくれるような。だからとわ子のそばは心地よさそう。

でも慎森は健康以外だって願って欲しかったよね。何も求めないんじゃなくて、何かを求めて欲しかったんじゃないのかな。焼肉みたいな好きだったとしても。



誰かに頑張って欲しい理由に、自分が頑張る理由に、故人を相手取っちゃどうしようもなくない?だってもうなんにも変わらないよ。分からないよ。

故人はこれから先、もう変化することも、新しく言葉をくれることもないから、生きている人の言葉よりも遺された言葉の方が深く残る。重たいものになる。そのとき気持ちを向けて口に出した言葉であることには変わりないのに。

でも、今とわ子が踏ん張って社長で居るのはかごめの言葉があってのことで。かごめが願ったことだからで。こうあって欲しいを実現するために、社長として生きてる。

食べ歩きのコロッケとか、トロフィーとか。生活の端々にかごめが生きてた。

「死んでしまったかごめ」ではなくて、「生きているかごめ」の姿を思い浮かべて頑張れるなら、それで良いのかなって結局、思ったよ。



全部見終わって、小鳥遊さんのビジネスの面を知ったとき、何事も無かったように話しかけてきたとき、「またハズレのトレーディングカード引いちゃったじゃん!」と言ってしまった。ごめん、元夫たち。ハズレなんてひどいよね。

公私混同しないのが行き過ぎているだけであって、確かにかごめについての会話で受け取った言葉が嘘になるわけではないんだよな。
だけどそれにしてもやっぱり、クセが強すぎる............


シーズン2が焼肉帰りに「なんでだろうね〜なんで人間って、何歳になっても寂しくなっちゃうんだろうね〜」って言っていた。

寂しいのが自分だけじゃないって思えたら、安心できる?寂しさって紛れる?それとももっと寂しくなる?
このどうにもならない寂しさ、最終話までに少しはマシになるかな。
抱えたままずっと生きていくしかないんだろうか。



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