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読書日記|対岸の家事

 
 朱野帰子さんの小説を拝読しました。専業主婦の家庭や共働き家庭といったおうち以外も色んな家族の形が出て来て面白かったです。登場人物のセリフや胸の内に時々共感したり。時には後ろめたい気分になったりしました。リアルな実情が描かれていて「家事って何だろう。どこまでが家事なんだろう」とふと考え込んでしまう一面も・・・。


 性別や年齢に関係なく家庭科の基礎知識は必須だと思うので、学校教育でも軽視しないで欲しいなと思います。主人公の父親に対する複雑な思いなどは、きっと体験した人にしか分からないでしょうし。この小説きっかけに、もう少し子育てや育児について色んな境遇の人が前向きに語れる場が増えたら良いなと思います。


 私は自分の為にする家事を今のところやっています。でも結婚して子供出来たらきっとまた考え方も変わるでしょう。作中での都会の保育園事情等に関する記述も大変参考になりました。私の住んでいる自治体は公園も多いし、保育園に入れない話はあまり聞いた事が無くて今までどこかピンとこなくて。そういう事かと制度的な説明も読んでようやく納得しました。


 自分が健康にこれから生きていく為にも家事は、とても文化的な営みだと思います。誰かにやってもらう家事から、自分達でやりくりする家事へ。簡単なようでなかなか難しい。「家事とは何か?」本書が投げかけているシンプルな問いに私は答えを見いだせていません。


 自分の答えを見つける為に、今日も自分なりに必死で細々と家事を続けます。家という空間を快適に保つには、気の遠くなるようなシュフ達の気苦労と気遣いがあったのですね。ただお母さんありがとうだけでは終わらせてはいけないもっと深いものが。これからの新時代シュフ像がどういうものになるのか実はちょっと楽しみでもあります。


 誰かを孤立させない家事リストなんてものがあっても面白いかもしれません。特定の人にしわ寄せがいかないように誰にでも使いやすい商品やツールこれからもっと出てくるんじゃないかな。


 

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