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「障害」「障がい」「障碍」の字面よりも大事なこと

最近Twitter(X)で話題になった。私もリポストさせていただいた。

元ツイの方が仰る通りで、国をはじめ、支援側の方々には、
字面云々よりも「肝心の支援策」を議論していただきたいと思う。
それは、私自身がいま「障害児の親」当事者として、強く思うこと。

ちなみに、私も当事者となる前は全然分かっていなかった。

若いころに、福祉住環境コーディネーターの資格勉強を通じて、
はじめて「障害」ではなく「障がい」「障碍」の表記を用いる意味や背景を知った。

『「障害」と書かず、「障がい」と書くことは、障がい者への気遣いになるんだ』・・・そんな風に、フワッと感じていた。

福祉住環境コーディネーター検定試験 最新テキスト(表紙)

そして、結婚して11年後、2018年に娘が生まれた。
1歳前後の頃には「発達遅れ」が分かり、公的・民間療育など様々な機会を得て、親子共々訓練を続けてみたものの、
今年5月には「重度知的障害、言語発達遅滞」の診断を受けるに至った。

先ほど写真を掲載した、福祉住環境コーディネーターテキスト。
自分が「障害児の親」であることが決定的となり、当然ショックもあったけれど、「娘の親亡き後のために、何ができるのだろう?」と考え始めた。
そこで、取り寄せた。

前職では「住宅のバリアフリー」に関わることも多かったため、
若いころに福祉住環境コーディネーター2級までは取得していた。
だ今から1級を取得することには意味があるだろうか?そう思いつつ。
20年ぶりにテキストを開いてみた。

率直な感想。
「福祉住環境コーディネーター」は、あくまで健常児として生まれた人が、
後年、老化に伴い認知症を患ったり、事故で身体障害者になった場合に、
どんな工夫ができるのか。

そういう内容なんだなと感じた。

現在、重度知的障害の娘を育てる親として、欲しい情報は無かった。
一般論ならとっくに知っている。

障害児の子育てをしていく中で、具体的に、どんな支援が受けられるのか?

福祉、医療、教育、行政、建築(住宅取得やリフォーム等)。
こうした部分は、自治体によっても差があるし、民間事業者による取組は自治体を越境して利用できるものもあるので、直接的に情報収集するしかない。

例えば、「住宅リフォーム」について。
自治体によっては身体障害だけでなく、知的障害を理由としたリフォームへの助成があるらしい。(身バレに繋がるので掘り下げません。ごめん。)

我が家は、私が前職で住宅のバリアフリーに関わることも多かった関係で、
対面でオープンな「キッチン」と「リビングダイニング」との間に
敢えて「ドア」を付けた。
バリアフリーではなく、「バリア」を設けたのだ。

人が住まいに合わせるのではなく「住まいに工夫を加える」。

その発想の原点は、バリアフリーも、「バリア」も同じなのだ。

2022年12月時点

ドアを設ける前は「お前がずっと見てればいいじゃないか」と夫。

ずっと見ていろだと??そんなことしてたら何もできない。
家事育児・副業を軽く見過ぎ。

そこで色々探した結果、この本を見つけた。とても良い本。

知的障害・発達障害のある子どもの住まいの工夫ガイドブック ―危ない! 困った! を安全・安心に 単行本 – 2016/8/3,西村 顕 (著), 本田秀夫 (著)

この本の中には、日用品を使ったすぐに出来る工夫から、住宅リフォームまで、子どもの障害に応じて、幅広く取り上げられている。

本書での事例を見ながら、
「本格的なリフォーム工事は、娘の発達に応じて考えよう。ただ、娘が在宅中にずっと見張っていることは出来ない。だから、ドアを1枚設置しよう。もし障害でなく、発達遅れであるならば、娘との間でも笑い話に出来る程度のことだ。」と思うことが出来た。

キッチンとの間にドアを設けたことで、物理的にも制御できるようになったし、娘の中に「入ってはならぬ場所」という認識が生まれたのは非常に良かった。大掛かりな視覚支援になった。リフォームしたから気付けたこと。

YouTube動画を見ていると、「自閉症の息子にテレビを壊された!!」などのテーマに遭遇することもある。
そんな親御さんには、是非この本を読んでほしい。
障害児だから苦労する、でなく、住まいの工夫で解決できることもあるのだと。

最後に、障害者の親になって思うこと。

娘が生きていくうえで、
「何が出来て、何が出来ないのか」
「それは出来なくても構わないことなのか」
「出来る必要があるならば、どんな訓練や日常での工夫が必要なのか」

そうした現実と向き合って、
必要な支援が受けられるように調査や問合せをしたり、
親が家庭で出来ることを学んだりしていくこと
でしかないと思う。

一歩一歩。

発語の無い娘。3歳半ではじめて言語療法(ST)や作業療法(OT)と出会った。

子どもの発達については、どうしても軽々しく、
母親の愛情だの、言葉のシャワーだの言われる。
でも、STやOTで、発語や身体的な動きの発達につながる土台を築くために、知識をかみ砕いて伝えること、経験させること、必要な筋肉の鍛え方などを親としても大いに学んだ。

そして娘は、
4歳半ではじめて、自分の意志で声を発した。
5歳半ではじめて、自分の意志で指差しをした。

話が前後するが、
2歳半からの1年間は、一般の幼児教室や集団リトミックに通っていた。
コロナ禍の影響で、それまでは母娘二人きりで室内で過ごす日が多かった。
おうちリトミックなどしていたけれど、母娘二人きりでは限界あるなと思った。

教室で、はじめて同世代のお友達と関わる経験。今にして思えば、
娘自身が「自分の好きなもの」に気付くきっかけになったと思う。
これも娘の発達を促すうえで、すごく大事だったと思う。
(個人のリトミック&ピアノには、現在も通い続けている。)
いつか、ここだけでnote書くつもり。「好き」の力は凄い。

娘のペースで一歩一歩、確実に成長している。
親の私も、色んなことを学んでいる。感謝の日々。

字面は、「障害」「障がい」「障碍」何でもいい。

子どもが受けられる支援、親が学ぶべきこと、
そして、親亡き後に向けて準備できること、
そういった情報にアクセスしやすくなって行くと良いなと思う。


※ちなみに、福祉や医療等のサービス自体は、ワンストップじゃない方が良いと思う。審査基準が一つになったら、何一つ支援を受けられないという事も起こりうるのでね…。

また、例えば「肝機能障害」とか「システム障害」の「障害」は何てことなく使われているのだから、私は殆ど気にしていない。
逆に、親として、向き合うべきものがハッキリした方がかえって助かる。

例えば、私は子供の頃、ピアノを弾けるようになるために、
楽譜を読んでピアノを弾くということだけでなく、
指の筋トレ、腕の筋トレなども毎日行っていた。

娘が言葉を話せるようになるために(話せない可能性の方が高いけど)、
名詞・形容詞・動詞の知識を付けていくことも大事だし、
口周り、喉周り?の筋トレも大事。また身体全体の神経の通りも大事。
ここら辺を医療的に介入してもらえるのが、ST・OTなんだな。

だから、ピアノを弾くための訓練を積み重ねたのと同じように、
ST・OTのお世話になりつつ、一歩一歩、進んでいきたい。

どこまでトレーニングが実るかは分からないけれど、可能性には掛けてみたいと思う。娘も日々、興味津々。がんばろ。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!