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夜の図書館の出会い

図書館が好き。
本を読むのは遅いけど。

あの空間で本をぱらぱらしていると
文学少女になった気分。
少女ではないけど。

本の店とはまた違う空気。
人の手を渡り歩いた、少しこなれた本が
幾分かリラックスして、待っている。


* * *


先日は
霧雨の夜に、歩いて向かった。

夜の図書館って
なんだかどきどきする。
それだけでちょっと特別。

通りに漂う
晩御飯のにおい。
お風呂のにおい、
食後の珈琲のにおい。

夜ってなんだか距離が近い。


住宅街、光る雨。
静寂の図書館に到着。


さいきんnoterさんの記事や書店で
長田弘さんが目に入り、
気になって調べてみることに。

ナガタヒロシ、検索っと。
あれ?出てこない。
オサダヒロシさんだ。


詩集以外も
いろいろ書いておられる。
こんなにたくさん。

ん?この本。
なんか見たことある…




「水の絵本」「森の絵本」
長田弘・作/荒井良二・絵

借りた「水の絵本」
持ってた「森の絵本」
「空の絵本」も、あるそうです


森の絵本。
もってました。

荒井良二さんのライブペインティングで
絵本を購入し、荒井さんにサインして頂いた。

詩も、好きだったんです。
だからこそ購入したのに
「荒井良二さんの絵本」という認識で。


どこかで よぶ声が しました。
でも 見まわしても だれもいません。

すると また よぶ声が しました。
こんどは ずっと すぐ近く です。

長田弘「森の絵本」
荒井良二・絵



鮮やかな色の、荒井さんの絵に
優しく静かに、寄り添っていた。
あーもう、長田さんすみません。



帰り道。
葉っぱについた雨粒を
指にぽつりと、もらってく。





「小さな本の大きな世界」
長田弘/酒井駒子・絵

挿絵がまた可愛い


絵本をメインに
数々の本を紹介しているこちら。

しっかり分厚くて(お値段も)、
それを気軽に読めるのは図書館のいいところだなと思う。


 うつくしいという言葉は、この世には、うつくしいという言葉でしか表せないものがあるんだと知ること。言葉の魅力というのは、そうやって、その言葉でしか表せない、取り替えのきかない言葉を、一つ一つじぶんの言葉にしていって、じぶん自身を、また、じぶんにとっての世界を確かにしてゆくことができる魅力なのです。
 そうした言葉の魅力をいっぱいもっているのが、絵本という小さな本です。その本をひらくまでは知らなかった。しかし、その本を読んだあとには、それまでは知らなかった言葉が、じぶんでも気づかないうちにとても大切な言葉になって、じぶんのなかにのこる。

長田弘「小さな本の大きな世界」
その言葉でしか…『すきまのじかん』


今まで何してたんだ、と思わずにいられなかったけど
これまでが「無」だったわけではなくて。
私の中に、知らず知らず織り込まれている。

略歴には2015年逝去とある。75歳。
絵本を手にした時は、ご存命だったのね。

今ようやく、
ちゃんと出会えました。

* * *


夜中のラジオ、
遠い国のことばが
聞こえてくるように。

夜の図書館のおかげで
受信できたのかな。
ちいさなちいさな本の声。




「ここだよ」。