短編小説:『便利』な世界の君たちへ。
なあ、おまえさん、こっちきて座んなさい。
ちょっとこの年寄りの話を聞いておくれ。ほんのちょっとでいいから。
わしらの若いころは、なんて言うとおまえさんみたいなもんには、煙たがられるかもしれんが、とにかく、わしらの若いころは今みたいにチップも衛星も、網膜スクリーンも、この地下シェルターだって、なかったんじゃ。
世の中はなんていうか、ずいぶんとまあ、『便利』になってしもうた。
今じゃあ、一言も会話せんでも物が買えてしまう。会ったこともない人と、結婚だってできる。
最近は、