短編小説:デュエル・オブ・ATM
陸奥がなにかおかしいと思ったのは、電車を降り、駅を出て、その前のコンビニを横切ったときだった。
妙に風が強い。季節の変わり目でもないというのに、網目状に敷かれた道路の上を滑る風がロングコートを貫いて肌を刺した。
違和感の正体は、すぐにわかった。人がいないのである。正確にはとても少ない、というべきだが。少ないのはまだいい。むしろ見知らぬ地で、仕事をしなくてはならないときは、そのほうが好都合だ。しかしこれほどまで閑散としていると、逆に注視されてしまうことが増える。今も、