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こえろ、ミジンコ(全18話)

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私の好きな人はミジンコに惚れこむこと20年、未だに女に見向きもしません。 彼は今、ミジンコの遺伝子操作に夢中です。 ミジンコ研究室を舞台にめぐる、大学院生のラブストーリー
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#深海魚

#1 こえろ、ミジンコ

#1 こえろ、ミジンコ

ミジンコ。小さな甲殻類。
体は丸く、いつもバンザイしていて、目は真ん中に一つ。

平均寿命1か月。

通常メスしか生まれない。
メスだけでも卵を産み、命を育てる。

私の好きな人はそんなミジンコに惚れこむこと20年、未だに女に見向きもしません。

彼は今、ミジンコの遺伝子操作に夢中です。

ああ、私もミジンコになりたい。

・・・

森里環(もりさと たまき)は、壁沿いにズラリと並ぶボトルの一つに

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#7 こえろ、ミジンコ

#7 こえろ、ミジンコ

月曜日になった。そう、土曜日の幻想ナイトリアム明けの奥田研究室である。

それぞれがミジンコの様子をチェックし、メダカに餌をあげ、パソコンの電源を入れ、今日という一日のスタートを切り始めた頃、院生の全注目を浴びて理仁が登場した。

「おはようございます」

そう言う顔はいつもの調子となんら変わりなく、その表情からはデートの結果が伺えない。

李さんがチラリと環に視線を投げ、ちゃんとCheckしてみ

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#8 こえろ、ミジンコ

#8 こえろ、ミジンコ

足元の間接照明だけで照らされた暗い館内。ごつごつとした岩のような壁が二人を囲む。そう、ここは深海水族館。

「やっぱりさ、体が透明のものに惹かれるよね」

目の前を通過した透明の生き物を見て環は言う。クラゲ?いやこれはクラゲではない。

「ああ、サルパ?」
「知ってるの?サルパ」
「知らないの?サルパ。海のプランクトンを食べつくすホヤの仲間」
「何でも知ってるね」
「サルパは昔から知ってたよ」

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