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先生が先生になれない世の中で

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雑誌「クレスコ」に好評連載中の教育研究者・鈴木大裕さんの教育事情レポート。
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#公教育

先生が先生になれない世の中で(28) いち教員である「わたし」にできること②

先生が先生になれない世の中で(28) いち教員である「わたし」にできること②

この社会は「わたし」たちの集まりによって構築されている――それに気づくことにこそ希望がある。そう言うのは、前回も取り上げた文化人類学者の松村圭一郎氏だ。文化人類学は、一つの部族や集団を長期にわたって調査する。しかし、調査を通して知るのはその「他者」だけでなく、「わたし」であり、自らの社会だ。「他者」と出会うことで自分自身の「あたりまえ」が揺さぶられ、その揺さぶりに身をまかせることで、慣れ親しんだ自

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先生が先生になれない世の中で(27) いち教員である「わたし」にできること

先生が先生になれない世の中で(27) いち教員である「わたし」にできること

文化人類学者、松村圭一郎氏のこの言葉に共感する教員は少なくないのではないか。この連載でも、大きなテーマを扱ってきた。資本主義の影響による教育における「構想」と「実行」の分離。新自由主義化する社会の帰結である公教育の市場化と民営化。そうして起こる学校の「塾」化と教員の「使い捨て労働者」化……。そして、子どもの教育を通して、この「モノ・カネ」の社会のあり方そのものを問い直す必要性を、私はくり返し訴えて

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