日記174:「それでも月が怖いから」
そういうものなんだろう。
一昨昨日、つまり水曜日のことだが、居間で夕飯をとっていると家族が声を上げた。母である。
「あ、月が見える」
私はブンと頭を降り、勢いよく窓から目を逸らした。母が窓に近寄ってカーテンを閉めに行く。どれくらいの大きさか、何色か、位置は高いか低いかを私は訊ねる。普通の大きさ、普通の色、位置は高めだと母は答えた。
私は月が怖い。
全部が全部怖いわけではなく、特定の条件下にある月だけが怖い。条件というのはすなわち先に母に訊いたという、①大きな月、②色の濃い