第50話 娘が生まれた日。それは初めて魂魄を切り刻んだ日。
二十年前の寒い日。
その日の正午、娘がこの世に這い出てきた。
娘の持つ「光」は、ヒトのそれではなかった。
化け物と呼ぶにしても、光々しかった。
それは、神の類と呼ぶ方が良いものだった。
ヒトの世に、このまま放ってはいけない「光」だった。
正であれ、負であれ、灰汁の強いもの、圧の強いもの、は物事を歪め狂わせる。
だから、娘に節(みさお)と名付けた。
知らぬ者には「礼節をわきまえて、季節の移ろいに心躍らせることが出来るようにと願って」と説明した。
だが