アキレス最後の戦い(V)~「亀」の恋
行き当たりばったりでmotelを見つけると、さっさと受付で前金の支払いを済ませて、鍵を受け取った。旧式の鍵で、このmotelのあらゆるシステムが旧式だった。受付の爺さんはカウボーイハットを被り、火星野球の中継を流していた。
部屋の窓からは、さっきの「火星のソドム」の灯を、薄っすらと眺めらることができた。
「わしの昔の恋人が、あの町に住んでおった。都市そのものの消滅が報じられた時、わしの青春は終わった」と「亀」が言った。
「なのに、さっきのとおり町が残っていた」と「亀」は