最近の恋愛観のアウトプット。
みんなにはなんでも話せるのに、
あなたには秘密にしていたいことがあって、
それはまだ、私には誰かがいることに、
安心したいだけ。
今日は半月だった。縦じゃなくて、横の。
終電の終点、最寄り駅で降りて、アルコール混じりの白い息を吐く。帰りたくないなと見上げた空は、思っていたより澄んでいた。まだ誰にも迷惑をかけていないスマホを、感情を含まない指で操作して、あなたの名前を探す。
ひらがなのフルネーム。どこかのサイトで、漢字フルネームをLINEの名前にしている男は信頼してもいいって書いてた。もしかしたら、リーチが1番危なかったのかもしれない。なんて思いながら、コールをかけ始めたスマホを耳に当てた。
無機質な音を聞きながら考える。絶対に出ないという確信があるのに、どんな言葉で電話をはじめようかと。
「あなたに初めて飲まされた焼酎を、今日は1本開けたからかけた」
盛り上がる女子の輪を抜け出して、1人で吐いていたことは秘密だけど。
「今日は午後から空きで散歩してたらとっても空気が綺麗だったから、かけた」
なんとなく憂鬱で起きれなくて1限と、学校に戻りたくなくて5限とをサボったことは秘密だけど。
「半月は普通縦でしょ、って誰かに言いたくてかけた」
色々浮かんだけれど、結局1番これが私が言いたいことのように思えた。
不自然なところで音が途切れる。ゆっくりと耳から離した画面には、応答無しの文字が書かれていた。ため息も出ず、何も無かったように歩みを進める。
誰もいない公園を突っ切って、駐車場の花壇にふと目をやると、月明かりに照らされて、白い彼岸花が咲いていた。何もかもを忘れて生きているような、罪深い白。私は赤い花の方が好きだけど、今日ばかりは白い花を見ていたい気分になった。
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