見出し画像

貧困解決か脱炭素化か、前途多難な世銀改革 グローバルサウスのニーズと貸し倒れリスク、対中戦略のかじ取り迫られる次期総裁

現地から見た世界の姿を知るニュースサイト、ドットワールドに寄稿しました。

世界の最貧国、いわゆるグローバルサウス諸国がコロナ禍で打撃を受けた経済の立て直しに苦慮し、貧困を緩和する教育や医療、インフラなどのプロジェクトに低利で貸し付けを行う世界銀行の役割が高まる中、次期総裁に注目が集まっています。

任期を1年残して中途退任するデイビッド・マルパス総裁の後任として6月2日に就任する次期総裁は、米決済大手マスターカードの前最高経営責任者(CEO)で、インド出身の帰化米国人、アジェイ・バンガ氏です。

大胆かつ辣腕な経営者として知られ、「時代遅れで融通が利かない」と評される世銀の構造改革を断行してくれるという期待が高まっているのです。

他方、バンガ次期総裁は米国が主導する世界規模のエネルギー大転換を実現するために新興国の環境プロジェクトへの融資を大幅に拡大するとも予想されており、最貧国の教育や医療、インフラを支援する従来プロジェクトへの融資が十分に行き渡らなくなることが懸念されています。

グローバルサウス諸国への最大の債権者であると同時に、これらの国々を「債務の罠」に陥れていると非難される中国と世銀がどう折り合いをつけるかという問題もある中、世銀は今後、先進国が主導する脱炭素化を推進するのか、当初の使命である貧困国への経済支援に立ち返るべきなのか――。

本稿では、世銀を舞台に繰り返される先進国とグローバルサウスの非対称の関係性とせめぎ合いの本質を読み解きます。ご一読ください。


励みになりますので、よろしければサポートをお願いします!