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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#管弦楽曲

12月12日、西洋と東洋が嫌味なく調和するマジック... イサン・ユン、晩年の境地の魅力!

オスモ・ヴァンスカ率いるソウル・フィルの演奏で、韓国出身、ドイツで活動した20世紀の作曲家、イサン・ユンのオーケストラ作品、「新羅」、3番のヴァイオリン協奏曲、1番の室内交響曲... BIS/BISSA2642 韓国出身で、コミュニストで、軍事政権により国外追放となり、ドイツを拠点に活動したイサン・ユン(1917-95)。その、1992年の作品、管弦楽のための伝説「新羅」と、3番のヴァイオリン協奏曲、1987年の作品、1番の室内交響曲という、作曲家、晩年の3作品... かつ

12月10日、転換点、1948年、東側の音楽のパノラマの興味深さ...

ツォルト・セフツィク(ヴァイオリン)が率いる、ハンガリーの室内管弦楽団、エルデーディ室内管の演奏で、ヴァインベルクにバツェヴィチ... 東欧の作曲家の1948年を切り取る、"1948"。 DUX/DUX1802 近頃、よく目にする2人... ポーランド出身、ソヴィエトを生きたモイセイ・ヴァインベルク(1919-96)に、ポーランドの女性作曲家、グラジナ・バツェヴィチ(1909-69)。そして、このアルバムで初めて知った存在、20世紀、ハンガリーの作曲家、セルヴァーンスキ・エ

12月8日、ピリオド・オーケストラによる『我が祖国』が描き出す、チェコの情景の驚くべき瑞々しさ!

毎年恒例、プラハの春音楽祭の開幕を告げる、スメタナの『我が祖国』によるオープニング・コンサート。昨年、2021年の開幕を飾ったのは、ヴァーツラフ・ルクス率いる、チェコのピリオド・オーケストラ、コレギウム1704!そのライヴ録音... ACCENT/ACC24378 チェコを代表する作曲家、スメタナ(1824-84)。その代表作にして、国民楽派の記念碑的作品、連作交響詩『我が祖国』(1874-79)。"モルダウ"でお馴染みの第2曲「ヴルタヴァ」を含めた6つの交響詩で織り成す、

11月11日、ラトヴィア、新旧世代による、シンプルさ、瑞々しい響き、惹き込まれます。

ギドン・クレーメル率いるクレメラータ・バルティカ、創立25周年記念盤、プラキディス、ペレーツィス、ペーテルソンズ、新旧ラトヴィアの作曲家、3人の"p"の作品を集めた、"ppp"。 ペトリス・プラキディス(1947-2017)の、2つのヴァイオリンのための小協奏曲、ゲオルクス・ペレーツィス(b.1947)の、フィオーリ・ムジカーリ、ソヴィエト時代に学んだ、ラトヴィアの巨匠の作品に、ラトヴィアの次世代、クリスタプス・ペーテルソンズ(b.1982)の、グラウンドに、"π=3.14

11月7日、それは、ナニモノでもないラフマニノフ... ウィルソン+シンフォニア・オブ・ロンドンの密度とライトさが生むニュートラル、最高!

今、一番、気になるチームかも... ジョン・ウィルソン率いる、シンフォニア・オブ・ロンドンの演奏で、ラフマニノフの「死の島」、ヴォカリーズ、3番の交響曲。 象徴主義の画家、ベックリン(1827-1901)の『死の島』にインスパイアされ作曲された、交響詩「死の島」(1909)で始まり、お馴染み、ヴォカリーズ(1915)の、作曲家自身のアレンジによる声無しオーケストラ版(1919)、そして、3番の交響曲(1935)、という3作品... 作曲家、ラフマニノフの、骨太な面をしっかり

11月2日、英語圏からアプローチするベルクのライトさ、ニュートラルさ... 表現主義を浄化...

ジェームズ・エーネスのヴァイオリン、アンドルー・デイヴィスの指揮、BBC響の演奏で、ベルクのヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」、さらに、3つの管弦楽小品など、オーケストラによるベルク作品... ベルクの代表作のひとつ、ヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」が、このアルバムの顔(ジャケットにも、ソロを務めるエーネス!)なのだけれど、その前に、ベルクのピアノ・ソナタと、交響曲の一部として書かれた?パッサカリアの断片をアンドルー・デイヴィスがオーケストレーションしたも

9月3日、新ウィーン楽派による究極的な交響曲?抽象の無垢の美しさに惹き込まれた。

スイスを代表する作曲家にして指揮者(ちょっと忘れがちだけど、世界的オーボエ奏者!)、ハインツ・ホリガーと、ローザンヌ室内管の演奏で、シェーンベルクとウェーベルンの交響曲。 シェーンベルクの1番の室内交響曲(1906)と、ウェーベルンの交響曲(1928)。そして、シェーンベルクのピアノのための6つの小品(1911)をホリガーがオーケストレーションしたものに、ウェーベルンの弦楽四重奏のための5つの断章(1909)、弦楽合奏版(1929)の4曲が取り上げられる。いや、新ウィーン楽

9月1日、シーズン開幕、明けました!おめでとうございます。ということで、瑞鳥?『火の鳥』聴いてみた!

ロイヤル・コンセルトヘボウ管の首席打楽器奏者を経て、指揮者を志した異色のマエストロ、グスターボ・ヒメノと、彼が率いるルクセンブルク・フィルの演奏で、ストラヴィンスキーのバレエ、『火の鳥』と『ミューズを率いるアポロ』。 今年は、バレエ・リュスを率いた伝説のプロデューサー、ディアギレフ(1872-1829)の生誕150年... ということで、ストラヴィンスキー(1882-1971)がバレエ・リュスの作曲家としてデビューを飾った『火の鳥』(1910)を聴いてみようかなと思い...

8月31日、メシアン、アメリカをゆく。アメリカっぽいメシアンがおもしろかった。

ピアニストとしてではなく、指揮者、ジャン・フランソワ・エッセールによる、自身が率いる新アキテーヌ室内管、ジャン・フレデリック・ヌーブルジェのピアノで、メシアンの『峡谷から星たちへ... 』。 1970年、アメリカ独立200周年(1976)に向け、オーケストラ作品を委嘱されたメシアン。翌年には作曲をスタートさせるも、その次の年、1972年に、アメリカ、ユタ州、シーダー・ブレイクス国定公園、ブライス・キャニオン国立公園、ザイオン国立公園などを訪れ、アメリカ西部の大自然が創り出す

8月11日、時代の波に乗り、時代に翻弄されて、辿り着いた音楽が見せるパノラマに感慨...

ポール・マンの指揮、リエパーヤ響の演奏による、1920年代のベルリンにてキャバレー・ソングの作曲家として人気を博したスポリアンスキーの、ベルリンを去ってからの管弦楽作品... TOCCATA CLASSICS, TOCC626 ミシャ・スポリアンスキー(1898-1985)。 ロシア帝国のユダヤ人定住地域にあった街、ビャウィストク(現ポーランド)にて、ユダヤ系の音楽家一家に生まれたスポリアンスキー。ドレスデンで音楽を学び、第1次大戦後、ヴァイマル文化が花開いたベルリンで活躍

8月4日、オペラ改革の巨匠、グルックの、その改革の種となったバレエ!

新譜、ジョルディ・サヴァール率いる、ル・コンセール・デ・ナシオンの演奏で、グルックのバレエ『ドン・ジュアン』と『セミラミス』。 Alia Vox/AVSA9949 1750年代、ブフォン論争の渦中、パリで活動したイタリア出身の台本作家、カルツァビージ(1714-95)が、1761年、ウィーンにやって来て、グルック(1714-87)と出会い、誕生したのが、オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』(1762)。で、その前、両者の最初のコラボが、バレエ『ドン・ジュアン』(1761)

7月23日、新体制による21世紀的?ひとつ次元の上がったシベリウス像?惹き込まれた!

2021年、イギリスの次世代指揮者、ニコラス・コロンが、フィンランド放送響の首席指揮者に就任!ということで、新体制のデビュー・アルバム、シベリウスの7番の交響曲と、劇音楽、『クリスティアン2世』と『ペレアスとメリザンド』の組曲。 初演時は交響的幻想曲というタイトルだったという、シベリウスの7番の交響曲(1924)に、劇音楽、『クリスティアン2世』(1898)と『ペレアスとメリザンド』(1905)の組曲を取り上げるのだけれど、この3曲の連なり、流れが、絶妙!交響曲っぽくない7

7月22日、多彩なエストニアのオーケストラ・サウンド、イイ!

パーヴォ・ヤルヴィ率いるエストニア祝祭管が、母国、エストニアの現代の作曲家たちによるオーケストラ作品の数々と、20世紀後半のエストニアを代表する作曲家、スメラのオリンピック・ミュージックIを取り上げる、"ESTONIAN PREMIERES"を聴いた。 トヌ・クルヴィッツ(b.1969)の「月の光に」(2020)、ウロ・クリグル(b.1978)の「コルダ」(2013)と「ザ・ボウ」(2021)、ヘレナ・トゥルヴェ(b.1972)の「影はあなたの後ろに」(2011)、タウノ・