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さぶすクラシック日誌。2023年版!

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#18世紀

4月4日、バッハ、構築の極みと、ウェーベルン、抽象の極みが織り成す、絶対音楽の庭...

ピリオドに軸足を置きながら、大胆に時代を飛び越えてゆくヴァイオリニスト、ロドルフォ・リヒターと、彼が率いるリヒター・アンサンブルの演奏で、バッハの『フーガの技法』と、ウェーベルンによる弦楽四重奏のための3作品... 絶対音楽の両極を並べる大胆な組み合わせ! passacaille/PAS1129 対位法の大家、バッハ(1685-1750)の集大成、『フーガの技法』に、12音技法を極めたウェーベルン(1883-1945)の弦楽四重奏のための作品、5つの断章(1909)、6つの

3月31日、今から300年前、バッハはトーマスカントルに就任した。その選考を巡る、1723年、ドイツ・バロックのパノラマ...

バロック・ヴォーカル・アンサンブル、アエルブグートと、バロック・オーケストラ、カペラ・イェネンシスが、テレマン、グラウプナー、バッハの教会カンタータを取り上げる、"Leipzig 1723"。 accentus music/ACC30598CD 1701年からライプツィヒ市の音楽監督であるトーマスカントルを務めてきたクーナウ(1660-1722)が世を去る。そうして始まる後任選び... 最初の候補は、学生時代、ライプツィヒで活躍したテレマン(1681-1767)... が、

3月30日、音楽史に置かれた呪物、『音楽の捧げもの』、今、その呪いを解き、祝福する...

バロック・ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、ヨハネス・プラムゾーラー率いる、パリを拠点とするピリオド・アンサンブル、アンサンブル・ディドロの演奏で、バッハ、晩年の傑作、『音楽の捧げもの』。 Audax RECORDS/ADX13781 1747年、次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714-88)が仕えていたプロイセン王、フリードリヒ大王(在位 : 1740-86)の"ギャラント"な宮廷を訪れる"対位法"の大家、大バッハ(1685-1750)が、当代切っての音楽通

3月29日、親世代、子世代を並べる興味深さ... テレマンとローレのオラトリオ『解放されたイスラエル』。

ピーテル・ファン・ヘイヘンの指揮、ベルギーのピリオド・オーケストラ、イル・ガルデリーノの演奏、ミリアム・フォイエルジンガー(ソプラノ)らの歌で、バロックの巨匠、テレマンと、ポスト・バロック、ローレ、それぞれのオラトリオ『解放されたイスラエル』。 passacaille/PAS1132 ドイツ中部の街、マクデブルク出身で、やがてハンブルク市の音楽監督として名声を誇った、大バッハ(1685-1750)の友人にして、その次男、カール・フィリップ・エマヌエル(1714-88)の名付

3月12日、ナポリ楽派、知られざる作曲家、サルクーニのミサの花々しさ!

バルト・ファン・デ・ウェーゲ率いるラ・ヒスパノフラメンカの歌、アン・クノップ率いるル・パヴィヨン・ド・ミュジクの演奏、ナポリ楽派の知られざる作曲家、サルクーニの器楽を伴う5声のミサ... ET'CETERA/KTC1763 ジャコモ・サルクーニ(1690-1758)。 ナポリの様々な教会で聖歌隊長を務め、音楽教師としても活動していた、サルクーニ... ナポリ楽派、第一世代、ポルポラ(1686-1768)と、ナポリ楽派、夭折の天才、ペルゴレージ(1710-1736)に挟まれた

3月11日、"ENCOUNTERS IN ROME"、コレッリからヘンデルへと受け継がれるもの...

ベニャミーノ・パガニーニ(クラヴィオルガヌム)とネーレ・ヴェルトメン(オーボエ)が率いる、ベルギーのピリオド・アンサンブル、ムジカ・グローリアの演奏で、ヘンデルとコレッリのコンチェルトとソナタ... 若きヘンデルのローマ滞在にスポットを当てる、"ENCOUNTERS IN ROME"。 ET'CETERA/KTC1787 ハンブルク、ゲンゼマルクト劇場(バロック期、ドイツ・オペラの中心だった公開のオペラハウス!)での成功を引っ提げて、1706年から1710年の4年間、音楽先

3月10日、"SALVE REGINA"、ソプラノの高雅さが引き出す、ヘンデルの研ぎ澄まされた美しさ!

フランスのソプラノ、ジュリー・ロゼが、アドリア・グラシア・ガルベス率いるミレニアム・オーケストラの演奏で、ヘンデルのサルヴェ・レジーナ、グローリア、オラトリオのアリアを歌う、"SALVE REGINA"。 RICERCAR/RIC442 序曲のような感じで取り上げられる、スウェーデン、ウプサラ大学が所蔵しているという謎の作品、5声の協奏曲(『エイシスとガラテア』などからの編曲による... )で始まり、サルヴェ・レジーナ(HWV 241)、オラトリオ『エステル』(HWV 50

3月9日、"LOST IN VENICE"、18世紀、ヴェネツィアの風景を活き活きと蘇らせ、惹き込まれる。

古楽の名門音大、バーゼル・スコラ・カントルム出身者によるピリオド・アンサンブル、ヴァディム・マカレンコ(ヴァイオリン)率いるインフェルミ・ダモーレが、ヴィヴァルディらの協奏曲を奏でる、"LOST IN VENICE"。 eudora/EUDSACD2206 ヴィヴァルディ(1678-1741)のヴァイオリン協奏曲、ハ長調(RV 182)、ト短調(RV 320)、ホ長調(RV 263)の3楽章、アレグロ・ノン・モルト、そして、チェロ協奏曲、変ロ長調(RV788)、2挺のヴァイ

3月8日、"SACROPROFANO"、ヴィヴァルディが生きた時代のヴェネツィアの危うい魅惑...

イギリスのカウンターテナー、ティム・ミードが、ジョナサン・コーエン率いるイギリスのピリオド・アンサンブル、アルカンジェロの演奏で歌う、ヴィヴァルディの教会音楽と世俗カンタータ... "SACROPROFANO"。 ALPHA/ALPHA914 ニシ・ドミヌス(RV 608)、サルヴェ・レジーナ(RV 618)の教会音楽に、世俗カンタータ、『やめてください、本当にやめて』(RV 684)と『恋の神よ、わかった、おまえの勝ちだ』(RV 683)の、アルト・ソロによる4曲... 

3月7日、ドレスデンのコンサート・マスター、ピゼンデルの器用にして花々しい音楽の数々...

コンチェルト・ケルンのヴァイオリニスト、平崎真弓が、コンチェルト・ケルンとともに、ドレスデンの宮廷楽団のコンサート・マスター、ピゼンデルのヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリン・ソナタなどを弾く... BERLIN CLASSICS/0302808BC ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755)。 ドイツ、ニュルンベルクの近郊、アンスバハ辺境伯領の小さな町、カードルツブルクのカントルを務めていた父の下に生まれたピゼンデル。幼くしてアンスバハの宮廷の聖歌隊に加わり、そこで、

3月6日、いつもとは違う温度感で魅了してくる、バッハ、アルト・ソロによる2つのカンタータ...

イギリスのカウンターテナー、アレックス・ポッターが、オランダのオルガニスト、レオ・ファン・ドゥセラール、ベルギーのピリオド・アンサンブル、イル・ガルデリーノの演奏で、バッハのアルト・ソロによるカンタータ、35番と169番を歌う。 passacaille/PAS1092 1726年、トーマスカントル(実質、ライプツィヒ市の音楽監督、聖トーマス教会の楽長で、聖歌隊の指導者... )に就任して、3年目、バッハ(1685-1750)が才能あるアルト(聖歌隊のアルト少年?)を見出し、

3月5日、シュタイアーの平均律、第1巻、聴き進めれば聴き進めるほど、初めて聴くような感覚を覚える不思議...

鍵盤楽器の鬼才、アンドレアス・シュタイアーが、1734年製、ヒエロニムス・アルブレヒト・ハスのチェンバロ(レプリカ)で弾く、バッハ、平均律クラヴィーア曲集、第1巻。 harmonia mundi/HMM902680 バッハの定番中の定番である第1巻に隠れて、普段、あまり目を向けることのなかった平均律クラヴィーア曲集、第2巻... その第2巻から聴かせてくれたシュタイアー!で、もうね、目から鱗でした。こんなにも多彩だった?!自由だった?!と... 今さらながらにその魅力(第1

3月4日、"Recommended by Bach"、バッハお薦めのオルガンの、何とブルーミンなこと!

オランダのオルガニスト、バルト・ヤーコプスが、バッハが推したオルガン製作者、コンティウスのオルガン(再現)で、バッハら、コンティウス周辺の作曲家たちの作品を弾く、"Recommended by Bach"。 RAMÉE/RAM2203 大バッハ(1685-1750)から信頼され、同世代、バッハ家の長男、ヴィルヘルム・フリーデマン(1710-1784)とは特に親しかったという、オルガン製作者、ハインリヒ・アンドレアス・コンティウス(1708-95)が、1779年、ラトヴィアの

3月3日、バッハが最も愛した楽器、クラヴィコードで弾くバッハ...

ピアノを代表する巨匠のひとり、アンドラーシュ・シフが、クラヴィコードを弾く!バッハのインヴェンションにシンフォニア、などなど、多彩な鍵盤楽器のための作品、2枚組で取り上げる、"Clavichord"。 ECM NEW SERIES/4857948 バッハが最も愛した楽器... とも言われるクラヴィコード。その響き、チェンバロに似ているようで、チェンバロのように弦を爪弾くのではなく、弦を下から突き上げて発音させる。というあたり、弦を上から叩くピアノに近いのかも... そういう