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3月11日、"ENCOUNTERS IN ROME"、コレッリからヘンデルへと受け継がれるもの...

ベニャミーノ・パガニーニ(クラヴィオルガヌム)とネーレ・ヴェルトメン(オーボエ)が率いる、ベルギーのピリオド・アンサンブル、ムジカ・グローリアの演奏で、ヘンデルとコレッリのコンチェルトとソナタ... 若きヘンデルのローマ滞在にスポットを当てる、"ENCOUNTERS IN ROME"。
ET'CETERA/KTC1787

ハンブルク、ゲンゼマルクト劇場(バロック期、ドイツ・オペラの中心だった公開のオペラハウス!)での成功を引っ提げて、1706年から1710年の4年間、音楽先進地域、イタリアを巡った若きヘンデル(1685-1759)... そのローマ滞在にスポットを当てる、"ENCOUNTERS IN ROME"、ローマでの出会い... で、出会ったのが、ローマが誇る大家、コレッリ(1653-1713)!そのコレッリによるフォリア(Op.5-12)を核に、最初と最後にヘンデルのオーボエ協奏曲(HWV 287, 295)を置き、コレッリの代名詞、トリオ・ソナタ(Op.3-9, Op.1-11)、ヘンデルのハープシコード組曲などをシンメトリックに配置、若きドイツ人青年と、ローマが誇る大家が対話するように展開...

ローマ教皇のお膝元ならではの保守性から紡ぎ出される古典美と、世界のカトリックの首都なればこその国際性が育んだ洗練!ヴェネツィアやナポリからするとローマの音楽はインパクトに欠けるところもあるけれど、バロック期におけるその存在感は、他を凌ぐところがある。で、その中心にいたコレッリ... この人の音楽の確かさと美しさは、まさにローマそのものと言えるのかもしれない。そこへやって来たヘンデル... この新旧の才能の出会いを見つめれば、コレッリからヘンデルへと受け継がれたもの、聴こえてくる。いや、ヘンデルの器楽作品の根幹には、ローマの洗練と充実があったことを気付かせてくれる、"ENCOUNTERS IN ROME"...

そんな、ヘンデルとコレッリを並べた、ムジカ・グローリア!ありそうで無かったか?この組み合わせ... いや、組み合わせて、音楽史のピースがはまるような感覚に、感動を覚えてしまう。で、演奏がまた、端正にして味わい深く、ローマの古雅なトーンを大事に、瑞々しい音楽を紡ぎ出す!フォリアでは、しっかりとエモーショナルでもあって、隙が無く楽しませてくれる。そして、ヴェルトメンのオーボエの伸びやかさ!パガニーニ(クラヴィオルガヌム)の端正なタッチ!彼らの好演も、ヘンデルとコレッリのローマでの出会い、引き立てる。

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