見出し画像

3月9日、"LOST IN VENICE"、18世紀、ヴェネツィアの風景を活き活きと蘇らせ、惹き込まれる。

古楽の名門音大、バーゼル・スコラ・カントルム出身者によるピリオド・アンサンブル、ヴァディム・マカレンコ(ヴァイオリン)率いるインフェルミ・ダモーレが、ヴィヴァルディらの協奏曲を奏でる、"LOST IN VENICE"。
eudora/EUDSACD2206

ヴィヴァルディ(1678-1741)のヴァイオリン協奏曲、ハ長調(RV 182)、ト短調(RV 320)、ホ長調(RV 263)の3楽章、アレグロ・ノン・モルト、そして、チェロ協奏曲、変ロ長調(RV788)、2挺のヴァイオリンのための協奏曲、イ長調(RV 521)に、4声のシンフォニア、ニ長調(RV786)、さらに、フィレンツェ出身のヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、ヴェラチーニ(1690-1768)が、ヴェネツィアで書いた6番の序曲(ザクセン選帝侯世子、ヴェネツィアご訪問の際に演奏されたとのこと... つまり、機会音楽?)、鬼才、ヴィヴァルディを攻撃したヴェネツィア楽派の正統、ベネデット・マルチェッロ(1686-1739)のヴァイオリン協奏曲(Op.1-9)を取り上げる、"LOST IN VENICE"。

まさに失われたヴェネツィア... 世界初録音を含む、普段、顧みられない作品を丁寧にチョイスし、ヴェラチーニ(ヴィヴァルディに負けないエモさ聴かせる序曲!しっかりヴェネツィア流... )やマルチェッロ弟(ヴィヴァルディに負けずカッコいいコンチェルトを繰り出す!)も取り上げ、ヴィヴァルディだけでなかった、18世紀、ヴェネツィアの風景を活き活きと蘇らせる。で、活き活きと蘇ったヴェネツィアの息衝く表情!ケレン味があって、粋で、遊びがありつつ、何より人間の息遣いが感じられる音楽の数々... 他の街の音楽では味わえないもの、あるなと... いや、何と魅力的な!

そんな、"LOST IN VENICE"を聴かせてくれた、マカレンコ+インフェルミ・ダモーレ。マカレンコのヴァイオリンがキレていて、バロック・ロックのヴィヴァルディです、しっかりエッジーに仕上げてくる!のだけれど、エッジーなだけじゃない、何とも言えない味わい、じゅわーっと広がって... 花やかなばかりじゃない、ヴェネツィアという街の人間臭さも感じられるその演奏、おもしろい!いや、ヴィヴァルディでなく、ヴェネツィアにこそスポットを当てる妙、最高。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?