書式は君が決めるんじゃない。現場が決めるんだ!/シナリオライター13年生のゆるふわゲームシナリオ講座
東京作家大学さんにてゲームシナリオライター講座を開講することとなりました。恐れ多くもゲスト講師としてお呼ばれした、シナリオライター13年生のしむらおとのです。おはこんばんにちは!
未経験からゲームシナリオライターになる方法を探しているひと
ゲームシナリオを書くことに興味があるひと
ゲームシナリオの書き方・考え方がわからず、つまずいているひと
本講座は、上記のようなゲームシナリオ未経験者~初学者さん向けの内容になっております。
「未経験からゲームシナリオライターになるにはどうすればいいの?」
「ゲームシナリオの書き方は? 決まった形式はあるの?」
「公募(応募)はあるの? 募集はどんなところがしているの?」
などといった易しい内容を予定しております。
※なので逆を言えば、ゲームシナリオをもう何年も書いてるよ・という人には退屈な内容かと思います
さて。
そんな連続10回にも渡る講座の開講を目前に控えたわたくし、しむらですが
ゲームシナリオ講座の開講に先駆けて、東京作家大学の生徒さんに向けに「覗いてみませんか?ゲームシナリオライターの世界!」と題した90分の特別授業をさせていただきましたああああー!
いやー!教壇に立って90分もしゃべりっぱなしというのは、人生で(おそらく)初めてでしたので、お聞き苦しいところわかりにくいところたくさんあったと思います!すいません!反省は次の講座に活かすッ!!
東京作家大学の生徒さんたちは、小説を書きたい人が多数だそうで、授業後には「ゲームシナリオに興味が湧いた」「知らない世界を知れた」と、嬉しい感想をたくさんいただくことができました。
というわけで本日は、授業の中で生徒さんの反応が一番よかった(と個人的に思っている)セクションの内容を、無料でご紹介しちゃいたいと思います!
ゲームシナリオの“書式”?
(ここからは、わたしが授業で実際にしゃべった内容をできるだけ忠実に書き起こしてみることにします)
――小説にも脚本にも「書式」というものがあると思います。たとえば。
みなさんも小説を書くときは、小説の書式に沿ってお書きになることと思いますが、「ゲームシナリオ書式」っていうのは、どんなものだと思いますか?
ゲームシナリオの書式…
ゲームシナリオの書式…かぁ…うーん…
――と、このように、わたしが腕を組んで悩んでしまうのには理由があります。
なぜならば。
そう。実はゲームシナリオって、決まった書式がないんです。
ゲームシナリオの書式はこれだよ!って提示できるような、パーンと決まった形式ってものがないんですよね。
意外に思われるかもしれませんが、これには理由があるんです。
ゲームのジャンルや仕様(あそびの仕組み)によって、必要とされる要素・情報などが違い、書き方がまるで異なるから
開発に使用されているプログラミング言語や開発ツールによっても異なるから
開発会社によっても異なる場合があるから
こうした背景がありまして、ゲームシナリオには決まった書式というものがないんですね。
じゃあ、どうやって書けばいいの…? と不安になりますよね? 不安にさせてごめんなさい。説明しますね。
書式は現場で決まる
ゲームシナリオの書式は現場で決まります。
こちらにおわしますのは、あなたとゲーム開発プロジェクトを同じくするプログラマーさん(スクリプターさん)です。プログラマーさんは繊細でかっこよくて忙しい方です、敬い優しくしましょう(※個人の意見)
ゲームシナリオの書式を決めてくださるのは、概ねこの方です。先程もお伝えした通り、ゲームシナリオの書式は開発に使用されているプログラミング言語や開発ツールによるところがありますので、プログラマーさん(スクリプターさん)が「この書式でシナリオを書いてね」と提示してくれます。
※大きなプロジェクトの場合、プログラマーさん→ディレクターさん→シナリオライターという連絡網を通す場合もあります
某刑事ドラマの名台詞みたいで気に入ったので繰り返します。
「書式は君が決めるんじゃない。現場が決めるんだ!!」
――さて…、えー、なんか、盛大にスベった気もしますが(白目)ここからはわりかし真面目な話をしますので、しっかり聞いてください。
現場で決められた書式はゼッタイに守ろうね
晴れて明確となった書式ルールに沿い、ゲームシナリオライターはゲームシナリオを書き進めていきます。
たとえば、
台詞の前には、話しているキャラクター(話者)の名前を書く。名前の前には必ず、特定の記号を入れる(@だったり#だったり現場によって異なる)
その後に、セリフは2行で書く
このような書式ルールに沿ってキャラクターのセリフを書いていきます。そして、完成したシナリオがプログラマーさんの手に渡ると、なんやかんやあって()ゲームのストーリー画面となって出力されるわけです。
なんやかんや()などと言った工程は、プログラマーさん(スクリプターさん)にもよりますが自動化されていたりして、一番シンプルな場合だとシナリオライターから出されたシナリオをプログラムに読み込ませるだけで画面が完成したりします。
な・の・で…。鋭い人はもうわかったかもしれませんが…?
ここで仮に、シナリオライターのうっかりミス等々により「書式間違い」なんてものが発生してしまうと、どうなるでしょう?
ゲームを動かす「プログラム」というものは厳密であり、曖昧を嫌うものです。堅物です。
ゆえに、たとえば先程の書式ルールにおいて、@を*にしてしまったり、そもそも記号を付け忘れてしまったりしようものならば、プログラムにとってそれは「あらかじめ定義されたシナリオの一文ではない」から、読み取れません、違います、コノショシキワカンナイってなっちゃうんですね。
そして発生するERROR!!
ERROR発生の末に、何が起こるかというと……
プログラマーさん(スクリプターさん)がキレます。
いやすみません訂正します。すべてのプログラマーさんがこんなスーパーサイヤ人のごとく激怒するわけじゃないです。でもちょっとイラッとしてるかもしれません。とりあえず誠心誠意謝りましょう。(※個人の経験からくる発言です)
はい、ここからはわりかし真面目な話をしますので、しっかり聞いてくださいね。(デジャヴ)
書式間違いで怖いのはプログラマーさん(スクリプターさん)のお怒りよりも、不具合・バグなどといった意図しない挙動を誘発してしまう可能性があることです。
昨今のプログラムや開発ツールでは、よほどのことでは↑のようになることはありませんが、画面に表示されたキャラが不自然な動きをしてしまったり、最悪の場合、ゲームが停止してしまう(クラッシュしてしまう)などのクリティカルな問題を引き起こさないとも言い切れないのです。
ゲームシナリオライターが書いた文章は、もちろん、最後はプレイヤーが読むものですが、その途中にプログラムを介するということを忘れずに。
プログラムがちゃんと読み取れるよう、プログラムが混乱しないよう、そしてプログラマーさんを困らせないように…書式はゼッタイに守りましょう。
※ルールを守るだけならカンタン!と思うかもしれませんが、書き慣れてきた初心者の方ほど、“うっかり書式間違い”をしがちなんですよね(経験談)。提出前に書式チェックはちゃんとしようね!
というわけで、まとめると――
書式は現場で決まる
ゲームシナリオライターは、各現場で決められた書式を厳密に守ること
ライターには、現場ごとに異なる書式に合わせていく柔軟な対応力が求められるよ!
というお話でしたっ。
ちなみに…
ゲーム開発の現場では、シナリオの書式としてExcel形式を使うことがあります。
詳しい説明は省いてシンプルに言い表しますが、表形式(テーブル)というのは、プログラムが読み取りやすい形をしているからなんですね。
もともと表計算のソフトですから、文字を書くのにはあまり向いておらず、いろいろと使いづらいこともあるのですが(汗)ゲームシナリオライターを目指そうと思ったら、Excelとは切っても切れない縁となります。あんまり触ったことないやって人は、仲良くなっておくことをおすすめします。
……さらに余談ですが、わたしかて最近こういうメに遭わされましたので、Excelさんとは地道に、地道に仲良くなりましょう(笑)
ゲームシナリオ講座、来て!
――というわけで、東京作家大学さんにて実施させていただいた「覗いてみませんか?ゲームシナリオライターの世界!」より、「ゲームシナリオの書式」のセクションをざっくり紹介させていただきました。
note用にだいぶはしょりましたが、フルバージョンと私の素顔を見られるのはあの日授業を受けてくれた生徒さんだけの特権ということで。
こんな感じで、ゆるふわつつ元気いっぱいにスベりまくりつつ()11月から開始の本命授業「ゲームシナリオ講座~はじめてのアドベンチャーゲーム制作」も実施していきます。
もう直前ですが、11月9日(土)に最後の無料体験授業を行いますので、授業の雰囲気が気になる方、しむらに直接質問がしてみたい!という方は、東京作家大学渋谷校さんまでお気軽に足をお運びくださいませー!
詳しくは東京作家大学さんのHPをご覧ください!
こちらのエントリも良かったらどぞ!↓